球体模様
乳がん術後ケア

乳がん術後のリハビリで大切なのは「ゆるめる」こと、そして「うごかす」こと

乳がん術後のリハビリで大切なのは「ゆるめる」こと、そして「うごかす」こと

乳がんの手術や治療を終えたあと、

「早く元の身体に戻さなければ」
「腕を上げられるようにならないと」
「運動しないといけないのかな」

そんな思いから、焦りを感じている方は少なくありません。

でも、私は理学療法士として多くの方と関わる中で、まず大切にしてほしいことがあります。

それは、

「ゆるめる」こと。

そして、そのあとに

「うごかす」こと。

この順番が、とても大切だと考えています。


まずは「ゆるめる」ことから

手術後や治療中の身体は、大きなダメージを受けています。

そのため、まず必要なのは頑張ることではなく、身体と心をしっかり休ませることです。

傷ついた身体を労わり、安心できる時間をつくり、リラックスすること。

まだ安静が必要な時期は、無理に元へ戻そうとするよりも、「回復する力」を信じて待つ時間でもあります。

身体が疲れているときは、心も疲れています。

反対に、心が張りつめていると、身体も自然と力が入ってしまいます。

身体と心は、いつもつながっています。

身体だけが緊張していて心だけが穏やか、あるいはその逆ということは、あまりありません。

だからこそ、

身体が楽になると、心も少しずつ楽になっていきます。

ガチガチに固まった身体をゆるめることで、心も少しずつほぐれていくのです。


情報から少し離れる時間も大切

治療中は、不安からたくさんの情報を集めたくなることがあります。

もちろん情報は大切ですが、見続けることで心が疲れてしまうこともあります。

そんなときは、意識してスマートフォンを置く時間をつくってみてください。

好きな音楽を聴く。

深呼吸をする。

温かいお茶を飲む。

窓の外を眺める。

そんな小さな時間が、身体にも心にも「ゆるむ時間」を届けてくれます。


焦って動かしすぎないことも大切

この時期におすすめできないのは、

「早く元に戻したい」

という気持ちから、無理な運動を始めてしまうことです。

「腕が上がらない」
「動かさないと悪くなる」

そう自分を追い込んでしまうと、身体だけでなく心も疲れてしまいます。

リラックスできていない身体に無理な運動をすると、かえって痛みや筋肉の緊張を強めてしまうこともあります。

運動は、

適切な時期に、適切な量で、適切な方法で行うことが大切です。

焦らず、その時々の身体に合った方法を選びましょう。


「うごかす」ことを少しずつ始める

治療が落ち着き、日常生活が戻ってきたら、少しずつ身体を「うごかす」ことに慣れていきます。

「うごかす」といっても、激しい運動ではありません。

まずは姿勢を変えることも、大切な運動です。

痛みや腫れが落ち着いている方であれば、左右に寝返りをしてみる。

乳房再建術を受けていない方は、うつ伏せを試してみる。

手術した側を下にして寝ることには勇気がいるかもしれません。

ですが、少しずつ身体が「大丈夫なんだ」と感じられるようになることで、就寝中の緊張も和らいでいきます。

もちろん、痛みや強い違和感がある場合は無理をせず、主治医や担当の医療者に相談しながら進めていきましょう。


まずは動きやすい身体をつくる

肩の動きが制限されている場合は、いきなり筋力をつけようとするのではなく、まず関節の動きを改善することを優先します。

動かしにくい身体では、「うごかす」こと自体が苦痛になってしまいます。

だからこそ、

動きやすい身体をつくってから運動へ。

その順番が大切です。


運動は「気持ちいい」が目安

身体を動かすことが好きな方は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動から始めてもよいでしょう。

筋力トレーニングを行う場合も、まずは下半身を中心に。

腕は無理な負荷をかけず、自分の体重を利用した軽い運動から十分です。

運動の目的は、

「頑張ること」ではありません。

身体を動かして、

「気持ちいい」

「楽しい」

「少し自信がついた」

そう感じられることが、一番大切です。


「元の身体」に戻ることだけがゴールではありません

乳がんの治療は、身体だけでなく人生にも大きな変化をもたらします。

だからこそ、

「以前と同じ身体に戻る」

ことだけを目標にしなくてもいいと私は思っています。

今の身体と向き合いながら、

「今日は昨日より少し楽だった」

「前より笑顔で過ごせた」

そんな小さな変化を積み重ねていくことも、大切な回復です。

身体をゆるめること。

そして、少しずつうごかすこと。

その積み重ねが、身体だけでなく心にも自信を取り戻してくれると信じています。

「はんなり」では、お一人おひとりの身体の状態や生活に合わせて、無理のない施術と運動を一緒に考えています。

焦らず、ご自身の身体の声を聴きながら、一歩ずつ進んでいきましょう。

中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

よく読まれている記事

ご予約・お問い合わせ

お申し込みのほか、ご質問やご要望などありましたら、
お気軽にお問い合わせください。

お客様の使いやすい方法を
ご選択ください。

Web予約

からだのケア
24時間以内に返信いたします

Web予約

こころのケア
営業時間 10:00~18:00