乳がんの手術や治療を経験すると、それまで当たり前だった日常生活にも、さまざまな変化が生まれます。
肩や背中がこわばったり、疲れやすくなったり、夜になってもなかなか気持ちが落ち着かなかったり。
「身体は疲れているのに、うまく休めない」
そんな日もあるのではないでしょうか。
毎日の暮らしの中で、自分の身体をいたわる方法のひとつが、心地よい温度のお風呂にゆっくり浸かることです。
特別な道具も、難しいことも必要ありません。
今回は、乳がん術後のセルフケアとして、入浴のメリットや気をつけたいことをご紹介します。
乳がん術後のセルフケアに、お風呂の時間を
乳がんの手術や治療、更年期の影響などによって、身体や心にさまざまな不調を感じることがあります。
- 肩や背中がこわばる
- 身体が冷えているように感じる
- 疲れているのに気持ちが落ち着かない
- 夜になってもなかなか眠れない
こうした不調には、痛みや筋肉の緊張、睡眠の変化、ホルモン療法の影響など、複数の要因が関係していることがあります。
入浴だけですべてが解決するわけではありません。
それでも、温かいお湯に浸かる時間が、身体の緊張を和らげたり、気持ちを切り替えたりするきっかけになることがあります。
大切なのは、頑張って何かをすることではなく、自分が心地よいと感じられる時間を持つことです。
おすすめは38〜39℃くらいのぬるめのお湯

お風呂の温度は、熱ければ熱いほどよいというものではありません。
熱いお湯は身体への負担が大きくなり、のぼせや血圧の変動につながることがあります。
ゆったりと過ごしたいときには、38〜39℃くらいのぬるめのお湯を試してみるのもよいでしょう。
ただし、快適に感じる温度には個人差があります。
寒く感じる場合に、無理に38〜39℃にこだわる必要はありません。
自分にとって心地よく、熱すぎない温度を選ぶことが大切です。
また、長時間の入浴が必ずしもよいわけではありません。
体調に合わせて入浴時間を調整し、疲れを感じる前にお風呂から上がりましょう。
温かいお湯が身体にもたらす変化
温かいお湯に浸かると、皮膚や身体が温まり、血管が広がって血流が増加します。
また、お湯の浮力によって身体にかかる重力の負担が軽くなり、筋肉の緊張が和らぐこともあります。
肩や背中がこわばっているとき、温かいお風呂に入ると少し楽に感じるのは、こうした作用が関係していると考えられます。
ただし、術後の痛みやつっぱり、腕の動かしにくさにはさまざまな原因があります。
入浴だけで改善しようとせず、症状が続く場合には医療者に相談してください。
また、リンパ浮腫がある方は、熱いお湯によってむくみや重だるさが強くなる場合があります。
入浴後に腕や手の張りが強くなるようなら、お湯の温度や入浴時間を見直しましょう。
お風呂は、心地よい眠りの準備にも
「身体は疲れているのに眠れない」
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
乳がん治療中や治療後には、こうした睡眠の悩みを抱える方も少なくありません。
睡眠には、身体の内部の温度である「深部体温」の変化が関係しています。
人は眠りにつく頃、身体の内部の温度が徐々に下がっていきます。
入浴によって一時的に深部体温が上がり、その後に下がっていく過程が、自然な眠気につながると考えられています。
研究では、就寝の1〜2時間ほど前に温かいお風呂に入ることが、入眠を助ける可能性も報告されています。
ただし、効果には個人差があり、入浴の温度や時間によっても変わります。
乳がんの治療中や更年期には、ホットフラッシュや寝汗などによって、かえって暑さが負担になることもあります。
そんなときは無理に湯船に浸からず、短めの入浴やシャワーでもかまいません。
眠るために頑張るのではなく、お風呂を心と身体を休ませる準備の時間と考えてみてはいかがでしょうか。
眠れない夜が続くときは、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 眠れない夜を、一人で抱え込まないで
お風呂は、自分をいたわる時間

毎日忙しく過ごしていると、自分のことはつい後回しになってしまいがちです。
仕事や家事、家族のこと。
そして、乳がんの治療や通院。
やらなければならないことが多いと、自分の身体が疲れていることに気づいていても、なかなか休めないことがあります。
だからこそ、お風呂の時間だけは少し立ち止まって、
「今日も一日、お疲れさま」
そんなふうに、自分自身をねぎらう時間にしてみてください。
身体を温めることだけが目的ではありません。
静かな時間を過ごしたり、好きな香りを楽しんだり、何も考えずにぼんやりしたり。
それも大切なセルフケアです。
無理を重ねるのではなく、身体をいたわりながら暮らしていく。
そんな小さな積み重ねが、毎日の生活の質(QOL)を支えてくれるのではないかと思います。
痛みや身体の違和感が続くときは、無理をせず、身体の声に耳を傾けることも大切です。
▶ 乳がん術後や治療中の痛みを我慢しないでください
乳がん術後・治療中の入浴で気をつけたいこと
乳がん術後や治療中には、一般的な入浴の注意点に加えて、気をつけたいことがあります。
手術後は主治医の許可を確認する
手術直後は、傷の状態やドレーンの有無などによって、入浴できる時期が異なります。
湯船に浸かることについては、必ず医療者の指示に従ってください。
リンパ浮腫がある場合
リンパ浮腫がある方も、基本的には入浴を楽しむことができます。
ただし、熱いお湯や長湯によって、むくみが強くなる場合があります。
また、皮膚の乾燥や小さな傷から感染が起こることもあるため、入浴後の保湿も大切です。
赤み、熱感、痛み、急な腫れ、発熱などがある場合は、蜂窩織炎などの感染症の可能性があるため、入浴で様子を見ずに医療機関へ相談してください。
治療中の皮膚トラブルに注意する
放射線治療中や治療後、抗がん剤治療中などは、皮膚が敏感になっている場合があります。
強くこすらず、刺激の少ない洗浄料を使い、やさしく洗いましょう。
放射線照射部位に皮膚炎がある場合や、傷がある場合には、医療者からのスキンケア指導を優先してください。
お風呂上がりの保湿も、皮膚を健やかに保つための大切なセルフケアです。
▶ リンパ浮腫と保湿の関係とは?乳がん術後に大切な乾燥対策
のぼせや転倒にも気をつける
入浴前後には水分補給を心がけましょう。
疲労感が強い日、めまいがある日、体調がすぐれない日は無理に入浴する必要はありません。
また、高血圧や心臓の病気などがある方は、主治医の指示に従いましょう。
まとめ|毎日の暮らしの中で、無理なく続けられるセルフケアを
毎日のお風呂は、身体を清潔にするだけでなく、自分自身をいたわる時間にもなります。
大切なのは、決められた温度や時間を守ることよりも、その日の体調に合わせて無理なく過ごすこと。
湯船に浸かれない日があっても、シャワーだけの日があっても大丈夫です。
乳がん術後のセルフケアは、特別なことを頑張り続ける必要はありません。
「頑張るケア」ではなく、「続けられるケア」を。
福岡県久留米市のリラクゼーションサロンはんなりでは、理学療法士としての経験を生かし、一人ひとりのお身体や生活に合わせたケアを大切にしています。
今日も一日頑張ったご自身を、どうぞやさしくいたわってあげてください。
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はんなりについて
リラクゼーションサロンはんなりは、女性専用・完全予約制の個室サロンです。
乳がんの治療中・治療後の方にも、安心して過ごしていただける場所を目指しています。
施術を担当するのは、病院で乳がん術後のリハビリに携わってきた女性理学療法士です。
肩や腕のつっぱり、身体の疲れやむくみなど、その日の状態を伺いながら施術内容を調整します。
「まずは話を聞いてほしい」
「こんな状態でも受けられるのかな」
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