がんと診断されたとき、多くの方が大きな不安や戸惑いを経験します。
治療のこと、仕事のこと、家族のこと、これからの生活のこと…。
さまざまな思いが重なり、眠れなくなったり、気持ちが落ち込んだりすることは、決して珍しいことではありません。
心の負担は、多くの方が経験しています
1983年、アメリカでがん患者さんを対象に行われた調査では、約半数の方に適応障害やうつ病などの精神医学的な診断が認められたことが報告されました。
その後の研究でも、多くのがん患者さんが不安や落ち込み、孤独感など、さまざまな心の負担を抱えていることがわかってきています。
こうした背景から、現在のがん医療では、身体の治療だけでなく、心のケアも大切な治療の一つと考えられています。
心のケアも、治療の一部です
治療中は、
- 将来への不安が消えない
- 以前のように前向きになれない
- 誰にも本音を話せない
- 「頑張らなければ」と無理をしてしまう
そんな気持ちになることがあります。
それは、決して弱いからではありません。
大きな出来事に向き合っているからこその自然な反応です。
心のつらさを我慢し続ける必要はありません。
医師や看護師、心理士などの医療スタッフに相談することも、治療を続けていくために大切な一歩です。

身体だけでなく、心にも寄り添いたい
私は理学療法士として、身体の痛みやリンパ浮腫などのケアを行っています。
でも、施術を続ける中で感じるのは、乳がん術後や治療中の方にとって、身体のお悩みだけが負担なわけではないということです。
「家族には心配をかけたくない。」
「友人には本音を話せない。」
「治療が終わったのに、気持ちがついていかない。」
施術中に、そんなお気持ちをおずおずと話してくださる方も少なくありません。
施術が終わり、身体が少し楽になると、自然と表情がやわらぎ、「今日は話せてよかった」と帰られる姿を見送りながら、やはり心の負担も相当なものだったのだなと思わされるのです。
だから私は、身体を整えることと同じくらい、「安心して話せること」を大切にしています。

一人で抱え込まなくて大丈夫
がん治療は、身体だけでなく心にも大きな影響を与えることがあります。
だからこそ、身体のケアと同じように、心をいたわる時間も大切です。
心のケアのための治療も、がん医療の中には含まれています。
不安やつらさが手に負えなくなった時、主治医や心療内科医・精神科医などに相談することは特別なことではありません。
ひとりで抱え込まずに、医療スタッフや身近な人に「つらい」と相談してみましょう。
あなたはひとりではありません。
そして、安心して話せる場所が必要になったときは、「はんなり」も選択肢のひとつとして思い出してください。
治療のその先も、その人らしく。
その毎日を、身体と心の両方から支えていける存在でありたいと願っています。


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