「もうすぐ仕事に復帰します。」
サロンでは、そんなお話を伺うことがあります。
治療がひと区切りつき、日常生活に戻れることはうれしいこと。
でも、その一方で、
「以前のように働けるかな」
「仕事を始めたら、また肩や腕が痛くならないかな」
「一日働ける体力が戻っているかな」
そんな不安を抱えている方も少なくありません。
乳がん術後の身体は、治療が終わったからといって、すぐに以前と同じ状態に戻るとは限りません。
復職前から少しずつ、「働く生活」に身体を慣らしていくことが大切です。
今回は、乳がん術後に仕事へ戻る前に知っておきたい身体の準備について、理学療法士の視点からお話しします。
「治療が終わった」と「身体が元に戻った」は同じではありません

手術や放射線治療、抗がん剤治療などが終わると、大きな一区切りを迎えます。
でも、身体はまだ回復の途中かもしれません。
脇や胸のつっぱり。
腕の動かしにくさ。
疲れやすさ。
手足のしびれ。
こうした症状は、仕事を始めてから改めて気づくこともあります。
家では困らなかった動作でも、仕事では何度も繰り返したり、長時間同じ姿勢を続けたりするからです。
復職前には、
「腕が上がるか」だけでなく、「今の身体で仕事を続けられそうか」
という視点でも身体を見てみましょう。
腕の上がりにくさの原因については、こちらで詳しく書いています。
▶ 乳がん手術後、腕が上がりにくいのはなぜ?|痛み・つっぱり・動かす不安について
① 肩や腕は、少しずつ仕事で使う準備を
デスクワークでも立ち仕事でも、肩や腕は思っている以上によく使います。
パソコンを操作する。
書類を持つ。
棚の物を取る。
通勤でバッグを持つ。
家では困らなかったことでも、仕事で繰り返すと、肩や腕に疲れやつっぱりを感じることがあります。
復職前から、無理のない範囲で少しずつ肩や腕を動かしてみましょう。
大切なのは、
「たくさん動かすこと」ではなく、「少しずつ続けること」。
「昨日より動きやすいかな」
「この動きはまだつっぱるな」
そんなふうに、自分の身体を確認しながらで大丈夫です。
痛みが強くなる、腫れが続くなど気になる変化があるときは、無理をせず医療機関へ相談してください。
痛みにどう向き合うかは、こちらの記事にも書いています。
▶ 乳がん術後や治療中の痛みを我慢しないでください
② 疲れをため込まないことも大切です
復職すると、
「久しぶりだから頑張ろう」
と思うかもしれません。
でも、仕事中は頑張れていても、帰宅した途端にぐったりすることがあります。
翌朝まで疲れが残ったり、週の後半になるほどつらくなったりすることも。
そんな日は、
「今日はダメだった」
ではなく、
「今日はこれくらいで疲れるんだな」
と考えてみてください。
疲れたら休む。
少し早く寝る。
家事を減らす。
周りに頼る。
仕事を続けるためには、頑張る時間だけでなく、回復する時間も必要です。
回復のための時間については、こちらでも詳しく書いています。
▶ 役割を少しだけ降ろして|乳がん治療後こそ「自分のための時間」を
③ リンパ浮腫は、身体の変化に気づくことから
リンパ節の手術や放射線治療を受けた方の中には、
「仕事を始めたらリンパ浮腫にならないかな」
と心配される方もいます。
でも、心配だからといって、患側の腕をまったく使わないようにする必要はありません。
急に大きな負荷をかけず、身体の状態を見ながら少しずつ活動量を戻していくことが大切です。
「いつもより腕が重い」
「左右でむくみ方が違う」
「張る感じが続いている」
そんな変化がないか、ときどき自分の腕を見たり触れたりしてみてください。
気になる変化が続く場合は、早めに医療機関などへ相談しましょう。
リンパ浮腫のリスクについては、こちらもご覧ください。
▶ リンパ浮腫を「正しく恐れる」ということ|乳がん術後に知っておきたいリスクと向き合い方
④ 「正しい姿勢」より、同じ姿勢を続けない

デスクワークでは、パソコンに集中しているうちに長時間同じ姿勢になりがちです。
首や肩、背中を動かす機会も少なくなり、こわばりや疲れを感じることがあります。
だからといって、
「ずっと正しい姿勢でいなければ」
と頑張る必要はありません。
私は、すべての人に当てはまる「一つの正しい姿勢」があるとは考えていません。
体格も年齢も、仕事内容も身体の状態も人それぞれだからです。
大切なのは、
一つの姿勢に固まらないこと。
座り直す。
立ち上がる。
飲み物を取りに行く。
肩を軽く動かす。
仕事の区切りに、少し姿勢を変えてみましょう。
はんなりの姿勢についての考え方は、こちらに詳しく書いています。
▶ 「姿勢を矯正する」という言葉が、私はあまり好きではありません
⑤ 足元も、ときどき動かしましょう
乳がん術後は肩や腕に目が向きやすいのですが、仕事に戻るときには足元にも目を向けてみましょう。
長時間座っていると、足を動かす機会が少なくなり、むくみやだるさを感じることがあります。
座ったまま足首を動かす。
休憩のときに少し歩く。
それくらいでも構いません。
また、冷房などで足元が冷えすぎてつらい場合は、靴下やひざ掛けなど、自分が心地よく過ごせる工夫をしてみてください。
肩や腕だけではなく、身体全体をときどき動かす。
それも、働く身体をいたわる方法の一つです。
身体の声を聞くこともセルフケア
仕事に集中していると、自分の身体の変化を後回しにしてしまうことがあります。
一日の終わりに、少しだけ身体に目を向けてみてください。
「肩は動きにくくなっていないかな」
「腕の重さはどうかな」
「今日はどのくらい疲れたかな」
身体は小さなサインを送ってくれています。
すべてを心配する必要はありません。
でも、いつもと違う状態が続くときには、
「もっと頑張らなければ」
と押し切らず、一度立ち止まってみることも大切です。
復職してから調整しても大丈夫
復職前には、
「ちゃんと働けるようになってから戻らなければ」
と思うかもしれません。
でも、実際に仕事を始めてみて初めて分かることもあります。
「思ったより疲れるな」
「この作業をすると肩がつらいな」
「夕方になると腕が重いな」
そんなことに気づいたら、そのときに調整してもいいのです。
少し休む。
身体の使い方を変える。
仕事量について相談する。
必要なら医療機関や専門職へ相談する。
仕事に身体を合わせるだけではなく、今の身体に仕事の仕方を合わせていく。
復職は、以前とまったく同じ自分に戻ることではありません。
今の身体と相談しながら、自分に合った働き方を見つけていけばいいのだと思います。
▶ 乳がん治療中の電車通勤がつらいときに|ヘルプマークという選択肢
はんなりからお伝えしたいこと

乳がん術後の仕事復帰には、人それぞれのペースがあります。
誰かと比べる必要はありません。
頑張り続けられる身体をつくることだけではなく、疲れたときには安心して休める自分でいること。
それも、長く働いていくためには大切なことだと思います。
はんなりには、
「復職したら肩が痛くなった」
「仕事を始めたら腕が重だるくなってきた」
「元気そうと言われるけれど、本当は毎日精一杯」
そんなお気持ちを抱えて来られる方もいらっしゃいます。
つらいときは、つらいと言っていい。
一人で身体のことを考え続けなくても大丈夫です。
理学療法士として身体の状態だけを見るのではなく、仕事や暮らしについても伺いながら、今できることを一緒に考えていきます。
それが、はんなりがお届けしたいケアです。
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はんなりについて
リラクゼーションサロンはんなりは、女性専用・完全予約制の個室サロンです。
乳がんの治療中・治療後の方にも、安心して過ごしていただける場所を目指しています。
施術を担当するのは、病院で乳がん術後のリハビリに携わってきた女性理学療法士です。
肩や腕のつっぱり、身体の疲れやむくみなど、その日の状態を伺いながら施術内容を調整します。
「まずは話を聞いてほしい」
「こんな状態でも受けられるのかな」
そんなご相談からでも大丈夫です。
西鉄久留米駅から徒歩約3分。
ご予約は下記の予約ページから承っています。
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