球体模様
治療と暮らし

乳がん治療中の方へ。知っておきたい「アピアランスケア」の助成制度|福岡県

乳がん治療中の方へ。知っておきたい「アピアランスケア」の助成制度|福岡県

乳がんの治療中は、身体の変化だけでなく、髪や胸元など、外見の変化に悩むことがあります。

「髪が抜けるのがつらい」

「胸の形が変わって、洋服を選ぶのが難しくなった」

「温泉や旅行に行きたいけれど、傷あとが気になる」

「補整下着やパッドを使いたいけれど、思った以上に費用がかかる」

そんなときに、知っておいてほしい制度があります。

それが、アピアランスケアの助成制度です。

福岡県では、がん治療に伴う外見の変化による心理的な負担をやわらげ、社会参加や療養生活の質の向上につなげるため、市町村が行うアピアランスケアの助成を支援しています。

「知らなかった」という方も少なくありません。

だからこそ、今日はこの制度について、乳がん治療中の方に知っていただきたいことをまとめます。


アピアランスケアって、どんなもの?

アピアランスケアで自分らしく身支度をする女性

「アピアランス(appearance)」とは、外見のこと。

がん治療では、薬物療法や手術などによって、髪、肌、爪、眉毛・まつ毛、胸の形などに変化が起こることがあります。

こうした外見の変化に対して、医学的・整容的・心理社会的な支援を行い、その変化によるつらさをやわらげることを「アピアランスケア」といいます。

大切なのは、

「外見を変化する前の状態に戻さなければいけない」ということではありません。

ウィッグを使う方もいれば、使わない方もいます。

胸の形を補整する方もいれば、そのままの自分で過ごすことを選ぶ方もいます。

どちらが正しいということではありません。

自分が少しでも心地よく、自分らしく過ごすために必要な方法を選ぶ。

それがアピアランスケアです。


福岡県では、購入費の助成があります

福岡県の「アピアランスケア推進事業」では、がん患者さんやがん経験者の方を対象に、市町村が行う医療用ウィッグや補整具などの購入費助成を支援しています。

2026年度(令和8年度)の福岡県の制度では、次のようなものが対象となっています。

医療用ウィッグ等

  • 医療用ウィッグ
  • 装着用ネット
  • 毛付き帽子

補整具等

  • 補整パッド
  • 補整下着
  • 専用入浴着
  • 弾性着衣
  • エピテーゼ(補整用人工物)

乳がん治療中の方にとっては、特に補整パッド、補整下着、専用入浴着、弾性着衣、エピテーゼなども対象になっていることを知っておいてほしいと思います。

「ウィッグだけの制度」と思っている方もいるかもしれません。

でも、実際には乳がん治療後の生活に関わるさまざまな補整具が対象になっています。


どのくらい助成されるの?

福岡県の事業では、対象となる購入費の2分の1が助成されます。

ただし、上限があります。

対象助成上限額
医療用ウィッグ等20,000円
補整具等10,000円

それぞれ1回を限度としています。

ただし、実際の申請条件や必要書類、申請期限などは市町村によって異なる場合があります。

そのため、

「福岡県の制度だから、県に直接申請する」

というわけではありません。

お住まいの市町村の制度を確認することが大切です。


久留米市にもアピアランスケアの助成制度があります

久留米市でも、「久留米市アピアランスケア推進事業」として、医療用ウィッグ等や補整具等の購入費用の一部を助成しています。

久留米市の場合、対象となるのは、

  • 久留米市内に住民票がある方
  • がんと診断され、現在治療中または過去に治療を受けたことがある方

などです。

また、世帯の市民税所得割課税年額などの要件があります。

対象となる用具は、医療用ウィッグ、装着用ネット、毛付き帽子のほか、補整パッド、補整下着、専用入浴着、弾性着衣、エピテーゼなどです。

専用入浴着については、こちらの記事に詳しく書いております。

乳がん術後でも旅行へ行こう|温泉用入浴着という選択

乳がん術後の温泉旅行を楽しむ女性

助成額は、

医療用ウィッグ等:購入額の2分の1、上限2万円

補整具等:購入額の2分の1、上限1万円

となっています。


申請は「購入してから」です

久留米市の場合、対象となる用具を購入した後、購入から1年以内に申請する必要があります。

申請には、例えば次のような書類が必要です。

  • 助成金の申請書
  • がん治療を受けていることが分かる書類
  • 購入日・購入品目・金額などが分かる領収書
  • 振込先口座が分かるもの

治療内容を確認できる書類については、治療方針計画書や診療明細書などが利用できる場合もあります。

ただし、制度の内容や必要書類は変更されることがあります。

購入する前に、お住まいの市町村へ確認しておくと安心です。


「弾性着衣」は別の制度が使える場合も

乳がん術後のリンパ浮腫ケアで弾性スリーブを使用する女性

乳がん術後の方に、もう一つ知っておいてほしいことがあります。

補整具等の中には、弾性着衣も含まれています。

弾性着衣には、弾性スリーブや弾性グローブなどがあります。

ただし、久留米市の案内では、弾性着衣については医療保険の療養費の対象になる可能性があるとされています。

場合によっては、アピアランスケアの助成よりも療養費のほうが給付額が高くなる可能性があるため、購入前に加入している医療保険者へ確認することがすすめられています。

「助成があるから、とりあえず購入しよう」

ではなく、

自分の場合は、どの制度を利用するのがよいのかを確認する。

これが大切です。


福岡県内の多くの市町村で実施されています

福岡県の2026年度の案内では、福岡市、北九州市、大牟田市、久留米市をはじめ、多くの市町村が実施市町村として掲載されています。

ただし、助成の対象者や申請方法などは自治体によって異なる場合があります。

「自分の住んでいる市にもあるのかな?」

と思ったら、まずは市町村のホームページを確認してみてください。

分からない場合は、市町村の担当窓口に電話で尋ねても大丈夫です。


知らなければ、利用することもできません

アピアランスケアの助成制度を調べる女性

乳がんの治療中は、治療そのもののことで頭がいっぱいになることがあります。

手術。

抗がん剤。

放射線治療。

ホルモン療法。

定期検査。

副作用。

仕事や家族のこと。

そんな中で、

「ウィッグの費用を少しでも抑えられる制度がある」

「補整下着にも助成が使える場合がある」

「入浴着も対象になることがある」

という情報まで、自分で探すのは簡単なことではありません。

だからこそ、こうした制度は、

必要な人に、必要なタイミングで届いてほしい。

そう思っています。


外見の変化に悩むことは、決して小さなことではありません

「髪が抜けるくらい、治療に比べたら大したことではない」

「傷あとを気にするなんて、贅沢なのかな」

そんなふうに思わなくても大丈夫です。

外見の変化は、その人の気持ちや人との関わり、仕事、外出、旅行など、日々の生活にも影響することがあります。

だからこそ、

「どうしたら自分らしく過ごせるだろう」

と考えることも、治療後の生活を整えていく大切な一歩です。

ウィッグを使ってもいい。

補整下着を使ってもいい。

入浴着を使ってもいい。

何も使わなくてもいい。

大切なのは、誰かに決められるのではなく、自分が心地よく過ごせる方法を選ぶことなのだと思います。


まずは「知っておく」ことから

アピアランスケアは、特別な人だけが利用するものではありません。

がん治療による外見の変化に悩んだとき、

「こんなことで相談していいのかな」

と思わなくて大丈夫です。

福岡県内のがん診療連携拠点病院などにあるがん相談支援センターでも、アピアランスケアについて相談することができます。

そして、助成制度については、お住まいの市町村の窓口に確認してみてください。

制度を知っているだけで、

「少し助かるかもしれない」

と思えることがあります。

治療中は、できるだけお金の心配や生活上の負担を減らして、自分の身体と心を大切にしてほしい。

この記事が、そのきっかけになればうれしいです。


福岡県のアピアランスケアについて

福岡県では、アピアランスケアに関する制度や患者さん向けの情報を公開しています。

最新の対象市町村や助成内容は変更される可能性がありますので、申請前には必ず公式情報をご確認ください。

福岡県「アピアランスケア」

久留米市にお住まいの方へ

久留米市でも、医療用ウィッグ等や補整具等の購入費用の助成を行っています。

久留米市「がん患者の方の医療用ウィッグ等や補整具等の購入費用を助成します」


はんなりから

乳がんの治療が始まると、身体のことだけでなく、これまで当たり前だった日常にも、いろいろな変化が起こります。

洋服を選ぶこと。

温泉に行くこと。

人に会うこと。

仕事に戻ること。

鏡を見ること。

その一つひとつに、戸惑うことがあるかもしれません。

はんなりは、そんな「治療のあと」の暮らしにも寄り添える場所でありたいと思っています。

治療が終わったあとも、一人じゃない。

身体のことも、心のことも、これからの暮らしのことも。

無理をせず、少しずつ。

自分らしい毎日を取り戻していけますように。

中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

よく読まれている記事

ご予約・お問い合わせ

お申し込みのほか、ご質問やご要望などありましたら、
お気軽にお問い合わせください。

お客様の使いやすい方法を
ご選択ください。

Web予約

からだのケア
24時間以内に返信いたします

Web予約

こころのケア
営業時間 10:00~18:00