「こんなことで悩んでいるのは私だけ…?」
「乳がんの手術を受けたあと、みんなはどんなことに悩んでいるのだろう」
肩や腕がつらくても、それが手術の影響なのか、年齢や疲れによるものなのか、分からないことがあります。
病院で「異常はありません」と言われても、
- 肩が重い
- 腕がむくむ
- 脇や胸がつっぱる
- 手足がしびれる
- 夜、身体がつらくて眠れない
といった悩みが、毎日の生活に残ることもあります。
この記事では、2022年から2025年までに「はんなり」へ初めて来店された乳がん経験者36人の来店理由をまとめました。
一人で複数の悩みを抱えている方も多いため、回答は複数回答です。
数字を並べることが目的ではありません。
「こんなことで悩んでいるのは私だけではなかった」と知っていただくこと。そして、術後の身体を我慢したまま過ごさなくてもよいとお伝えすることが、この記事の目的です。

実際に多かった乳がん手術後の悩み
2022年から2025年までに、はんなりへ初めて来店された乳がん経験者36人の来店理由をまとめました。
一人で複数の悩みを抱えている方も多いため、複数回答で集計しています。
ご相談が多かった上位5項目は、次のとおりです。
- 肩こり 16人
- 腕の腫れ・リンパ浮腫 15人
- 肩甲骨・背中の痛み 10人
- 手足のしびれ 8人
- 首こり 6人
肩や腕だけでなく、肩甲骨や背中、首、手足など、悩みが広い範囲に及んでいることが分かります。

また、一つの症状だけではなく、
「肩も背中もつらい」
「腕のむくみと、脇の痛みが気になる」
「しびれがあり、夜もよく眠れない」
というように、複数の悩みが重なっている方も少なくありませんでした。
なぜ「肩こり」が最も多かったのでしょうか
今回の集計で最も多かったのは、肩こりでした。
乳がんの手術後は、傷の痛みや脇・胸のつっぱりを避けるため、無意識に手術した側の腕を動かさなくなることがあります。
腕をかばう姿勢が続くと、肩が前に入り、首や肩、肩甲骨まわりの筋肉が緊張しやすくなります。
また、手術した側を守ろうとして、反対側の腕ばかりを使う方も少なくありません。そのため、手術していない側の肩や背中までつらくなることがあります。
肩こりは、単に肩の筋肉だけの問題とは限りません。
- 腕が上がりにくい
- 脇や胸がつっぱる
- 傷の周辺に違和感がある
- 手術した側を下にして眠れない
- 寝返りがしにくい
- 同じ姿勢が続いている
こうした複数の要因が重なり、首・肩・肩甲骨まわりの負担につながっていることがあります。
そのため、肩だけを強くもむのではなく、腕の動きや姿勢、胸や脇のつっぱり、睡眠中の姿勢なども一緒に確認することが大切です。
乳がん術後の肩こりについては、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
乳がん術後、なぜ肩こりがつらくなるの?|肩だけではない、首・肩甲骨・背中のケア
腕の腫れやリンパ浮腫への不安も多い
2番目に多かったのは、腕の腫れ・リンパ浮腫でした。
実際に腫れが出ている方だけでなく、
- 腕が重い、だるい
- 左右で太さが違う気がする
- 袖口や腕時計の跡が残る
- 手や指がむくむ
- このまま悪化しないか心配
- 飛行機や旅行は大丈夫なのか知りたい
といった不安から相談される方もいます。
乳がんの手術でリンパ節を切除した方や、放射線治療を受けた方には、リンパ浮腫が起こる可能性があります。ただし、腕の重さやだるさがあるからといって、すべてがリンパ浮腫とは限りません。
腕の動かしにくさや筋肉の緊張、活動量の低下などが、重さやだるさにつながっていることもあります。
大切なのは、自己判断で強くもんだり、必要以上に怖がったりするのではなく、腕の状態を確認することです。
急な腫れ、赤み、熱感、強い痛み、発熱などがある場合は、サロンではなく、まず医療機関へ相談してください。
リンパ浮腫を必要以上に怖がらず、適切に向き合うために、こちらの記事も参考にしてください。
リンパ浮腫を「正しく恐れる」ということ|乳がん術後に知っておきたいリスクと向き合い方
肩甲骨・背中の痛みや、手足のしびれも
3番目に多かったのは、肩甲骨・背中の痛みでした。
手術後に腕をかばったり、手術した側を下にして眠れなかったりすると、身体の使い方が変わります。その負担が肩甲骨まわりや背中に現れることがあります。
「肩よりも肩甲骨の内側が痛い」
「背中が張って、寝返りがしにくい」
「手術していない側までつらくなった」
という方もいらっしゃいます。
4番目に多かった手足のしびれは、抗がん剤治療の影響など、さまざまな原因が考えられます。指先の細かい動作がしにくい、足の裏の感覚が分かりにくい、歩くときに不安を感じるなど、生活への影響も人によって異なります。
5番目は首こりでした。肩や腕の動かしにくさ、かばう姿勢、睡眠姿勢の変化などが、首の負担につながっていることがあります。
同じ「痛み」や「しびれ」でも、原因や現れ方は一人ひとり違います。まず、いつから、どこに、どのような症状があるのかを確認することが大切です。
腕の上がりにくさや脇のつっぱりが気になる方は、こちらの記事もご覧ください。
乳がん手術後に腕が上がらない3つの原因とは?痛み・つっぱり・不安について
身体だけではなく、「生活」がつらくなる

痛みやしびれ、腫れ、だるさが続くと、つらいのは身体だけではありません。
- 洗濯物を干す
- 髪を洗う、結ぶ
- 高い場所の物を取る
- 買い物袋を持つ
- 車を運転する
- 寝返りをする
- 手術した側を下にして眠る
- 仕事や趣味を続ける
これまで何気なくできていたことが、少しずつ負担になっていきます。
特に、寝返りができない、手術した側を下にできないといった悩みは、睡眠にも影響します。眠れない日が続けば、疲れが取れず、痛みやだるさをさらに強く感じることもあります。
手術後の寝返りに不安がある方は、少しずつ姿勢を取り戻す方法をこちらでお伝えしています。
乳がん手術後、寝返りが怖いあなたへ|少しずつ姿勢を取り戻していこう
「病院では異常がないと言われた」
「治療は終わったのだから、これくらいは我慢しなければ」
そう思いながら、不調を抱えたまま生活している方は少なくありません。
しかし、検査で大きな異常がないことと、毎日の生活に困っていないことは別です。
治療が終わったあとに残る身体のつらさも、相談してよい悩みです。
理学療法士として私が大切にしていること
私が大切にしているのは、つらい場所だけを見るのではなく、その方の身体と生活を一緒に確認することです。
初めに、乳がんの手術や治療の経過、現在困っていることを伺います。そのうえで、
- 腕がどこまで動くか
- 肩を上げるときに、身体をかばっていないか
- 胸や脇につっぱりがないか
- 首や肩、背中に負担がかかっていないか
- 寝返りや睡眠に困っていないか
- 家事や仕事で難しくなったことはないか
などを確認します。
目指すのは、単に「痛みを取ること」だけではありません。
「洗濯物を干しやすくなった」
「寝返りができるようになった」
「久しぶりによく眠れた」
「仕事や趣味を続けられるようになった」
そんな生活の変化につなげることです。
症状だけを見るのではなく、その方の暮らし全体を見る。
それが、リラクゼーションサロンはんなりが大切にしているケアです。

「こんなことを相談していいのかな」と思わなくて大丈夫です
今回ご紹介した来店理由は、一人の方が複数の悩みを抱えている場合も含まれています。
同じ乳がんの手術を受けていても、手術方法や治療内容、生活環境によって、困っていることは一人ひとり違います。
肩や腕の痛みだけでなく、
- 「寝返りができない」
- 「手術した側を下にして眠れない」
- 「脇の違和感が気になる」
- 「病院で相談するほどではないと思って我慢している」
このような悩みも、毎日の生活に関わる大切なことです。
治療が終わったあとも、身体や気持ちがすぐに元どおりになるとは限りません。
身体を整えることはもちろん、安心して話せる場所であることも、はんなりが大切にしている役割の一つです。
「こんなことを相談していいのかな」と思わずに、今困っていることをそのままお話しください。
治療が終わったあとも、一人ではありません。
あなたが少しでも心地よく毎日を過ごせるよう、お手伝いできればと思います。
合わせて読みたい
乳がん手術後の肩や腕、リンパ浮腫について、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。


