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乳がん術後の身体

乳がん術後、なぜ肩こりがつらくなるの?|肩だけではない、首・肩甲骨・背中のケア

乳がん術後、なぜ肩こりがつらくなるの?|肩だけではない、首・肩甲骨・背中のケア

「乳がんの手術をしてから、肩こりがひどくなった気がする」

「もともと肩こりはあったけれど、手術後は特につらい」

「肩だけではなく、首や背中までガチガチ……」

乳がんの手術後、このような肩こりや首・背中のつらさを感じる方は少なくありません。

乳がんの手術と肩こり。

一見すると関係がないように思えるかもしれませんが、手術後の身体の使い方や姿勢、活動量、心身の緊張など、いくつかの要因が重なって肩まわりのつらさにつながることがあります。

今回は、乳がん術後に肩こりがつらくなる理由と、肩だけではなく身体全体を見ながらケアする大切さについてお話しします。

乳がん術後に肩こりがつらくなる6つの理由

① もともと肩こりがあった

もともと肩こりを感じていた方は、乳がんの手術後に肩まわりのつらさが強くなることがあります。

手術前からの肩こりに加えて、手術後の身体の変化や活動量の低下などが重なるためです。

「もともと肩こりがあるから、仕方ない」

と、そのままにしてしまわないでください。

肩こりが強いと、肩や腕を動かすときにも身体に余計な力が入りやすくなり、術後の動かしにくさにつながることがあります。

特に、もともと肩こりが強かった方は、手術後の身体の変化によって、さらに肩や首、背中のつらさを感じることがあります。

② 手術後、首や肩まわりに力が入りやすくなる

手術後は、傷や痛みのある場所を無意識にかばってしまうことがあります。

すると、いつもとは違う姿勢になったり、首から肩にかけて力が入りやすくなったりします。

例えば、

  • 首から肩にかけて張る
  • 肩をすくめていることが多い
  • 背中が重い
  • 肩甲骨のあたりがこわばる

ということはありませんか?

乳がんの手術後には、肩や腕の痛み、こわばり、動かしにくさが起こることがあります。

特に、わきの下のリンパ節の手術などでは、肩や腕の動きに影響することがあります。

「手術したところは痛くないから大丈夫」

と思っていても、身体は無意識に傷をかばっていることがあります。

そのため、首や肩、背中に力が入り続けていないか、一度身体全体を見てみることも大切です。

③ 入院や術後の活動量が減る

手術前後は、どうしても普段より身体を動かす機会が少なくなります。

入院中はベッドで過ごす時間が増え、退院後も、

「傷が心配」

「動かすのが怖い」

「動かして痛くなったらどうしよう」

と、腕や肩を動かすことを控えてしまう方もいます。

身体を動かす機会が減ると、肩や腕の動きが小さくなり、こわばりを感じることがあります。

だからこそ、術後は主治医や医療スタッフの指示に合わせて、無理のない範囲から少しずつ身体を動かしていくことが大切です。

乳がん術後のリハビリテーションでは、肩や腕の動きを取り戻すための運動が行われます。

痛みや手術内容などによって適した運動は異なるため、「痛くても頑張る」のではなく、自分の身体に合わせて進めていきましょう。

乳がん術後のリハビリについては、こちらもご覧ください。

乳がん術後のリハビリで大切なのは「ゆるめる」こと、そして「うごかす」こと

④ 手術によって、身体のバランスや姿勢が変わることがある

乳がん術後の姿勢や身体のバランスの変化

乳がんの手術では、乳房の一部を切除する場合もあれば、乳房を全摘する場合もあります。

乳房の形や左右のバランスが変わることで、手術後に、

「なんとなく身体のバランスが違う」

「肩の高さが左右で違うように感じる」

「以前と身体の使い方が違う気がする」

と感じる方もいらっしゃいます。

また、手術後は傷や胸まわりの違和感をかばうことで、無意識に身体の使い方が変わることもあります。

例えば、

  • 手術した側の肩が前に出る
  • 肩をすくめるような姿勢になる
  • 左右の肩の高さが違って見える
  • 身体を少し傾けている
  • 手術した側の腕を身体に近づけたままにする

などです。

こうした姿勢や身体の使い方の変化があると、肩だけでなく、首や肩甲骨、背中にも負担がかかり、肩こりや身体のこわばりを感じることがあります。

「肩がこっているから肩だけをほぐす」のではなく、身体全体のバランスや姿勢、動き方を見ていくことも大切です。

乳がん術後の身体は、手術前とまったく同じではありません。

だからこそ、「以前はこうだったから」と無理に元の身体の使い方に戻そうとするのではなく、今の身体の状態に合わせて、少しずつ動きや姿勢を整えていくことが大切です。

⑤ 不安や緊張、スマートフォンを見る時間が長くなることも

乳がん術後に不安からスマートフォンで情報を検索する女性

乳がんと診断されてから手術、治療へ。

身体だけでなく、心もずっと緊張している時期かもしれません。

「これからどうなるんだろう」

「この症状は大丈夫なのかな」

「同じような人はどうしているんだろう」

不安になると、インターネットでいろいろ調べたくなることがあります。

少しでも安心したくて検索をしていたら、気がつけば長い時間スマートフォンを見ていた……ということもあるのではないでしょうか。

スマートフォンを長時間見ていると、うつむいた姿勢が続きやすく、首や肩、背中に負担がかかります。

特に、手術後にすでに首や肩まわりに力が入りやすくなっている場合は、こうした姿勢が重なることで、肩こりや首のつらさを感じやすくなることがあります。

また、不安や緊張が続くと、身体もなかなかリラックスできません。

眠りが浅くなったり、寝つきが悪くなったりすることもあります。

知らないうちに歯を食いしばっていたり、夜に歯ぎしりをしていたりする方もいます。

不眠については、こちらの記事にも書いております。

眠れない夜を、一人で抱え込まないで

「調べないほうがいい」と言いたいわけではありません。

不安なときに情報を探したくなるのは、ごく自然なことです。

ただ、検索に夢中になって身体まで疲れてしまわないように、ときどきスマートフォンから目を離して、顔を上げ、肩の力を抜いて深呼吸してみてください。

そして、インターネットで調べても不安が消えないときは、一人で答えを探し続けるのではなく、主治医や医療スタッフに相談することも大切です。

⑥ ホルモン療法などによって、関節の痛みやこわばりを感じることも

乳がんの治療では、ホルモン療法を続ける方も多くいらっしゃいます。

特にアロマターゼ阻害薬(AI)では、関節痛や関節のこわばり、筋肉の痛みなどを感じることがあります。

そのため、

「肩こりがひどくなった」

と思っていても、単純に肩の筋肉だけが原因とは限りません。

肩だけでなく、首や背中、腕、手など、身体全体の状態を確認することが大切です。

つらい症状が続く場合は、自己判断で薬を中止せず、治療を担当している医師に相談してください。

「肩こり」でも、肩だけを見ないことが大切

肩こりというと、

「肩の筋肉をほぐせばいい」

と思われがちです。

でも実際には、首・肩・肩甲骨・背中など、さまざまな場所が関係しています。

特に肩こりが強い方は、肩甲骨の動きが小さくなっていることがあります。

肩甲骨は、腕を上げたり、背中に手を回したりするときにも大切な役割をしています。

そのため、

「腕を上げにくい」

「背中に手を回しにくい」

「着替えがしづらい」

といった症状があるときには、肩関節だけではなく、肩甲骨や胸郭、背中の動きも含めて考えることが大切です。

腕が上げにくい原因については、こちらに詳しく書いています。

乳がん手術後に腕が上がらない3つの原因とは?痛み・つっぱり・不安について

「ストレートネック」と言われたことがある方も

最近では、病院や整体などで「ストレートネックと言われたことがあります」という方も増えています。

ストレートネックという言葉だけで、すべての肩こりの原因を説明できるわけではありません。

ただ、首や肩まわりに負担がかかる姿勢が続いている場合は、首だけでなく肩や背中まで張りを感じることがあります。

乳がん術後は、さらに傷をかばう姿勢が加わることもあります。

「首がつらいから首だけ」

「肩がこるから肩だけ」

と考えるのではなく、首から肩、肩甲骨、背中まで、ひとつながりの身体として見ていくことが大切です。

肩こりがあるから、運動をしてはいけない?

ここは少し注意が必要です。

肩こりがあるからといって、運動をすべてやめる必要があるわけではありません。

むしろ乳がん術後は、状態に合わせて肩や腕を少しずつ動かしていくことが、動きの回復につながります。

ただし、

「早く元に戻したい」

という気持ちから、痛みを我慢して無理に動かすのもおすすめできません。

痛みや傷の状態、手術内容、治療内容に合わせて、無理のない運動と身体のケアを組み合わせること。

それが大切です。

もし肩や腕が思うように動かない、痛みが続く、日常生活に支障があるという場合は、主治医や理学療法士などの医療専門職に相談してみましょう。

肩こりを「たかが肩こり」と思わないで

乳がんの手術後は、身体にたくさんの変化が起こります。

傷をかばう。

身体を動かすことが少なくなる。

姿勢が変わる。

身体の左右のバランスが変わったように感じる。

肩や腕を動かすことが怖くなる。

治療への不安で身体に力が入る。

不安からスマートフォンで検索する時間が長くなる。

眠れない日が続く。

こうしたことが重なれば、肩や首、背中がつらくなるのも無理のないことです。

だから、

「こんなことで相談していいのかな」

「たかが肩こりだから……」

と思わなくて大丈夫です。

肩こりの背景には、身体からの「少し休ませて」「もう少し動かして」というサインが隠れていることもあります。

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乳がん術後や治療中の痛みを我慢しないでください

肩だけではなく、身体全体をゆるめていく

乳がん術後の首や肩、背中をやさしくケアする様子

肩こりがあるとき、肩だけを一生懸命ほぐしたくなるかもしれません。

でも、首から肩、肩甲骨、背中、そして姿勢や呼吸まで。

身体はすべてつながっています。

そして、身体だけでなく、長い治療生活の中で知らず知らずのうちに抱えてきた緊張もあります。

だからこそ、乳がん術後の肩こりは、

「肩だけをどうにかする」のではなく、身体全体を見ながら、少しずつゆるめて、動かしていく。

そんなケアが大切なのだと思います。

はんなりでは、肩だけを見ません

はんなりでは、乳がん術後の身体を「肩だけ」「腕だけ」と部分的に考えるのではなく、その日の身体の状態を伺いながら、首・肩・肩甲骨・背中など、全身のつながりを大切にしています。

「肩がこってつらい」

「手術した側の腕が動かしにくい」

「背中までガチガチになっている」

そんなときも、どうぞ一人で我慢しないでください。

治療を頑張ってきた身体だからこそ、ゆっくり、やさしく。

ゆるめる、うごかす。

はんなりは、そんな時間を一緒につくっていきます。


※この記事は、乳がん術後の肩こりについて一般的な情報をまとめたものです。術後の運動やケアについては、手術内容や治療経過によって注意点が異なります。痛みや動かしにくさが続く場合、症状が強くなっている場合は、自己判断せず主治医や医療専門職にご相談ください。

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中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

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