球体模様
乳がん術後の身体

乳がん手術後、腕が上がりにくいのはなぜ?|痛み・つっぱり・動かす不安について

乳がん手術後、腕が上がりにくいのはなぜ?|痛み・つっぱり・動かす不安について

乳がんの手術後、

「肩より上に腕が上がらない」
「退院してから動かしているけれど、思うように動かない」
「動かした方がいいと言われたけれど、痛くて怖い」

そんなお悩みはありませんか。

乳がん手術後の身体の状態には個人差がありますが、腕の上げにくさは、術後によく聞くお悩みのひとつです。

私は病院勤務時代、乳がん手術後のリハビリテーションに携わってきました。

現在もサロンでお話を伺っていると、退院して間もない方から、

「どこまで動かしていいのかわからない」

というご相談をいただくことがあります。

腕が上がりにくくなる背景は一つではありません。

今回は、その中でもよくみられる

「痛み」「つっぱり」「動かすことへの不安」

の3つから考えてみたいと思います。

私のサロンに来られる方が、どのようなお悩みを抱えているのかは、こちらの記事でもご紹介しています。

▶乳がん手術後、みんな何に悩んでいる?来店理由を理学療法士が解説


乳がん手術後、腕が上がりにくくなる背景

手術後の腕の動かしにくさには、手術の方法やリンパ節への処置、傷の状態、治療の経過など、さまざまなことが関係します。

また、

痛いから動かしにくい
つっぱるから途中で止まってしまう
動かすのが怖くて身体に力が入る

ということもあります。

そして、この3つはそれぞれ独立しているとは限りません。

痛みがあるから怖くなる。
怖いから動かさなくなる。
動かさないことで、さらに動かしにくさを感じる。

このように、いくつかの要因が重なっていることもあります。


① 痛み

乳がん手術後の痛みは、「ズキズキする」といった痛みだけではありません。

人によっては、

  • しびれる
  • ピリピリする
  • 感覚が鈍い
  • 触った感じがいつもと違う

などの感覚として現れることもあります。

痛みや違和感を感じる場所として、胸の周囲だけでなく、わきや上腕の内側を挙げる方もいらっしゃいます。

乳がん手術では、乳房だけでなく、センチネルリンパ節生検や腋窩リンパ節郭清など、わきの下に処置が行われることがあります。

そのため、傷の周辺だけでなく、わきから腕にかけて痛みや感覚の変化が生じることがあります。

実際に患者さんから、

「わきに鉄板をはさんだような感じがする」

と表現されたこともありました。

痛みがあると、「動かさなければ」と思っていても身体は自然にかばいます。

そこで無理に頑張りすぎると、肩や背中など別の場所に力が入り、かえってつらくなることもあります。

痛みは、無理に我慢して動かせばよいというものではありません。

痛みの程度や術後の経過に合わせながら、少しずつ身体を動かしていくことが大切です。

乳がん術後の「痛み」については、こちらの記事でも詳しくお話ししています。

▶乳がん術後や治療中の痛みを我慢しないでください

乳がん手術後に肩や腕の違和感を確認する女性

また、痛みが強い、急に悪化した、赤みや腫れ、熱感などがある場合には、自己判断せず医療機関へ相談してください。


② つっぱり

手術後、

「腕を上げると、わきから腕の内側がつっぱる」

「胸のあたりが引っぱられる感じがする」

という方もいらっしゃいます。

手術による傷や、その周囲の組織の変化などによって、腕を動かしたときにつっぱりを感じることがあります。

また、放射線治療後には皮膚の乾燥や硬さなどを感じることもあります。

大切なのは、

「早く元に戻さなければ」と無理に伸ばさないこと。

今日どこまで動くのか。
どこでつっぱりを感じるのか。

自分の身体の状態を確認しながら、少しずつ動かしていきます。

乳がん手術後に腕をゆっくり動かす女性

術式や再建の有無、術後の時期によって注意点は異なります。病院から運動について指示を受けている場合は、その内容を優先してください。

つっぱりが長く続く、強くなる、腕の動きがなかなか改善しない場合には、主治医やリハビリテーションの専門職に相談してみてください。


③ 動かすことへの不安

乳がん手術後に腕を動かすことは、思っている以上に勇気がいることがあります。

「動かしても大丈夫なのかな」

「傷に影響しないかな」

「また痛くなるのではないかな」

そう感じるのは、決して不自然なことではありません。

身体に不安があると、無意識に肩に力が入ったり、腕の動きを小さくしたりすることがあります。

だからこそ、身体だけを見るのではなく、「怖い」という気持ちも含めて考えることが大切だと私は思っています。

乳がん手術後の身体の悩みについて女性理学療法士に相談する様子

「ここまでは動かして大丈夫」

「今日はこのくらいにしておこう」

身体の状態を一緒に確認できる人がいることで、少し安心して動かせることもあります。

不安なまま一人で頑張り続けず、主治医や理学療法士など専門職の力を借りることも一つの方法です。

治療後も不安が続き、つい頑張りすぎてしまう方には、こちらの記事もおすすめです。

▶治療が終わっても、不安は終わらない|乳がん治療後の心に寄り添うケア


腕が上がらない=頑張りが足りない、ではありません

術後の腕が思うように動かないと、

「もっとリハビリを頑張らないと」

「私がちゃんと動かしていないからかな」

と思ってしまう方もいらっしゃいます。

でも、身体の回復には個人差があります。

手術の方法も違えば、治療の内容も、痛みの程度も、もともとの身体の状態も違います。

だから、誰かと比べて焦る必要はありません。

大切なのは、たくさん動かすことではなく、今の身体の状態を知り、その人に合った方法で少しずつ動きを取り戻していくこと。

「頑張る」だけがリハビリではないと、私は考えています。


はんなりでできるサポート

はんなりでは、乳がん手術後の女性から、腕や肩についてのご相談をいただいています。

まずお話を伺い、現在の治療状況や身体の状態、困っていることを確認します。

そして、無理に腕を動かすのではなく、その日の体調や身体の状態に合わせてケアを行います。

乳がん手術後の身体をやさしくケアするはんなりの施術風景

「腕が上がりにくい」
「肩や背中までつらくなってきた」
「わきがつっぱる」
「リンパ浮腫が心配」

身体のことだけでなく、

「どこまで動かしていいのかわからない」

という不安も含めて、お話しください。

なお、はんなりで行う施術は医療行為ではありません。症状によっては、医療機関への相談をおすすめすることがあります。


焦らず、今日の身体に合わせて

手術後の腕の動きは、少しずつ変化していくことがあります。

「早く元に戻さなければ」と焦るより、

今日はここまで動いた。
昨日より少し楽だった。

そんな小さな変化を見ながら進んでいきましょう。

痛みやつっぱり、不安があるときは、一人で抱え込まなくても大丈夫です。

身体の状態を確認しながら、あなたのペースで。

その一歩一歩を、はんなりでもお手伝いできればと思っています。

はんなりは、女性専用・完全予約制の個室サロンです。
ご予約時に「乳がん手術後の腕について相談したい」とお伝えいただくとスムーズです。

▶ 乳がん術後ケアのコース・ご予約はこちら

※はんなりで行う施術はリラクゼーションを目的としたもので、医療行為ではありません。症状によっては、医療機関への相談をおすすめすることがあります。

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中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

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