乳がんの手術や治療を受けたあと、
「腕がむくむようになった」
「皮膚の状態が以前と違う気がする」
「この赤み、大丈夫なのかな?」
そんな身体の変化を感じることはありませんか?
乳がん術後にリンパ浮腫がある方に、ぜひ知っておいていただきたいもののひとつが、蜂窩織炎(ほうかしきえん)です。
蜂窩織炎は、皮膚や皮下組織に細菌が入り込んで起こる感染症です。
特にリンパ浮腫がある方は、蜂窩織炎を起こすことがあり、さらにリンパ浮腫を悪化させるきっかけになることもあります。
だからこそ、
「いつもと違うかも」と気づいたときに、早めに相談すること
が大切です。
この記事では、乳がん術後の方に知っておいてほしい蜂窩織炎の症状、受診先、日頃からできるケアについてお伝えします。
蜂窩織炎(ほうかしえん)とは?

蜂窩織炎は、皮膚や皮下組織に細菌が入り込み、炎症を起こす感染症です。
皮膚にできた小さな傷やひび割れ、虫刺されなどが細菌の入り口になることがあります。
ただし、目立った傷が見当たらなくても発症することがあります。
蜂窩織炎になると、患部に
- 赤み
- 腫れ
- 熱感
- 痛み、触れたときの痛み
などが現れることがあります。
さらに、発熱や寒気、強いだるさなど、全身の症状を伴うこともあります。
症状が急に現れたり、赤みや腫れが広がってきたりする場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
乳がん術後と蜂窩織炎には、どんな関係があるの?
乳がんの手術では、病状によって腋の下のリンパ節を調べたり、切除したりすることがあります。
また、放射線治療などによってリンパ液の流れが変化し、腕や手などにリンパ浮腫が起こることがあります。
リンパ浮腫は、手術からしばらく経ってから現れることもあります。
乳がん術後のリンパ浮腫についての記事はこちら
▶リンパ浮腫を「正しく恐れる」ということ|乳がん術後に知っておきたいリスクと向き合い方
そして、リンパ浮腫がある方は、蜂窩織炎に注意が必要です。
国立がん研究センターでは、蜂窩織炎をリンパ浮腫の「最も注意すべき合併症」として紹介しています。
蜂窩織炎を起こすと、もともとあるリンパ浮腫がさらに悪化することもあります。
そのため、
「むくみがあるけれど、今日はいつもと違う」
という小さな変化にも気づけるようにしておくことが大切です。
▶あわせて読みたい:乳がん手術後に気を付けたい症状とは?
「いつものむくみ」と違う?蜂窩織炎のサイン

リンパ浮腫があると、
「今日は少しむくんでいるだけかな」
と、変化をいつものこととして受け止めてしまうこともあります。
でも、赤みや熱感、痛み、発熱などが加わったときには注意が必要です。
こんな症状があったら、蜂窩織炎の可能性があります
- 腕や手が急に赤くなった
- 皮膚がいつもより熱を持っている
- 腫れが急に強くなった
- 触れると痛い、または痛みが出てきた
- 赤みが広がっている
- 急に発熱した
- 寒気がする
- 強いだるさがある
蜂窩織炎では、広い範囲の赤みや熱感、痛みなどが現れ、突然発熱することもあります。
ただし、これらの症状だけで蜂窩織炎と判断することはできません。
「いつもと違う」と感じたときは、自己判断せず医療機関に相談しましょう。
蜂窩織炎かも?と思ったら、何科を受診すればいい?

「赤くなっているけれど、何科に行けばいいの?」
迷う方もいらっしゃると思います。
蜂窩織炎が疑われる場合は、皮膚科が受診先のひとつです。
特に、
- 赤みが広がっている
- 腕や手が熱を持っている
- 腫れや痛みが急に出てきた
- 発熱や寒気がある
- いつものリンパ浮腫とは明らかに違う
という場合は、様子を見すぎず、早めに医療機関へ相談しましょう。
乳がん術後なら、乳腺外科に相談しても大丈夫
現在も乳腺外科に通院している場合は、いつもの主治医に相談するのもよいでしょう。
特に、
「リンパ浮腫がある腕に赤みと熱感が出てきた」
など、乳がんの治療歴やリンパ浮腫について診てもらっている場合は、これまでの経過を知っている主治医に相談できます。
乳腺外科では、乳がんの術後経過やリンパ浮腫などについて相談できる体制を設けている医療機関もあります。
「皮膚科と乳腺外科、どちらに行けばいいかわからない」
という場合は、まず通院している医療機関へ電話で相談するのもひとつの方法です。
大切なのは、受診先に迷って受診を遅らせないことです。
こんなときは救急の受診も考えて
蜂窩織炎では、症状が強い場合に全身状態が悪くなることがあります。
たとえば、
- 高い熱が出ている
- 強い悪寒がある
- ぐったりしている
- 意識がぼんやりする
- 赤みや腫れが急速に広がっている
- 明らかに体調が悪い
などの場合は、通常の外来を待たず、救急医療機関への相談・受診を検討してください。
「蜂窩織炎なら必ず救急」という意味ではありません。
症状の程度や全身状態によって、受診方法を判断することが大切です。
蜂窩織炎が疑われるときは、マッサージをしない
ここは、リンパ浮腫がある方にぜひ知っておいていただきたいことです。
腕がむくんでいると、
「むくんでいるから、流してあげたほうがいいのかな?」
と思うかもしれません。
でも、蜂窩織炎が疑われるような赤み・熱感・痛み・発熱などがあるときには、自己判断でリンパドレナージュやマッサージを行わず、まず医療機関に相談しましょう。
国立がん研究センターでも、蜂窩織炎が疑われる場合には早期に医療機関を受診し、熱を持った皮膚を冷やして安静にすること、腫れているからといってマッサージや圧迫をしないことが案内されています。
「むくみ=流す」ではなく、「感染の可能性があるときは、まず診てもらう」
このことを覚えておいてください。
蜂窩織炎を予防するために、日頃からできること

蜂窩織炎を完全に防ぐことはできません。
それでも、皮膚を健やかに保ち、細菌が入り込むきっかけをできるだけ減らすことは大切です。
① 皮膚を清潔に保つ
汗や汚れをそのままにせず、入浴やシャワーなどでやさしく洗いましょう。
強くこする必要はありません。
清潔を保つことは、毎日の基本的なケアです。
② 保湿を習慣にする
乾燥すると、皮膚にひび割れなどができ、細菌が入り込むきっかけになることがあります。
入浴後などに保湿剤を使い、皮膚の乾燥を防ぎましょう。
乳がん術後のリンパ浮腫対策でも、清潔と保湿、皮膚を傷つけないことが大切とされています。
リンパ浮腫がある方の保湿についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
③ 小さな傷を作らないようにする
蜂窩織炎は、大きなけがだけが原因になるわけではありません。
たとえば、
- 虫刺され
- 爪まわりの小さな傷
- 擦り傷
- ひび割れ
- やけど
- 靴ずれ
など、皮膚の小さな傷がきっかけになることがあります。
料理やガーデニングなど、手を傷つける可能性がある作業では、手袋を使うなど、できる範囲で皮膚を守りましょう。
④ 虫刺されを掻き壊さない
虫に刺されると、つい掻いてしまいますよね。
でも、掻き壊して皮膚に傷ができると、細菌が入り込むきっかけになることがあります。
「痒いから掻く」のではなく、できるだけ皮膚を傷つけないことも大切です。
⑤ 水虫などの皮膚トラブルも放置しない
水虫などの皮膚感染症がある場合は、皮膚科で相談しましょう。
皮膚の状態を整えておくことも、蜂窩織炎の予防につながります。
⑥ 「いつもと違う」に気づく
毎日細かくチェックする必要はありません。
お風呂に入ったときなどに、
「今日は赤くなっていないかな?」
「いつもと違うところはないかな?」
と、自分の腕や手の状態を見ておく。
そんな小さな習慣も、身体の変化に気づくきっかけになります。
蜂窩織炎を経験した方へ
一度蜂窩織炎を経験すると、
「また起こったらどうしよう」
「この腕はずっと気をつけ続けないといけないのかな」
と、不安になる方もいらっしゃると思います。
蜂窩織炎は、リンパ浮腫を悪化させることがあります。
また、繰り返す方もいるため、日頃の皮膚のケアやリンパ浮腫の管理について、医療機関や専門職に相談していくことが大切です。
でも、
「蜂窩織炎になったから、何もできなくなる」わけではありません。
皮膚を守ること。
身体の変化に気づくこと。
気になるときには早めに相談すること。
できることをひとつずつ、生活の中に取り入れていきましょう。
はんなりでは、治療後の身体の変化にも寄り添います
蜂窩織炎が疑われるときは、まず医療機関へ。
はんなりでは、蜂窩織炎の診断や治療を行うことはできません。
でも、治療が落ち着いたあと、
「腕が以前より動かしにくい」
「肩や背中がこわばる」
「むくみが気になる」
「身体のことを誰かに相談したい」
そんな日常の身体の変化について、理学療法士としてお話を伺っています。
リンパ浮腫については、医療機関でも専門外来などで継続的な相談や生活指導が行われています。
医療機関で必要な治療や管理を受けながら、その先の日常生活を少しでも心地よく過ごせるように。
はんなりは、そんな時間にも寄り添いたいと思っています。
小さな変化に気づくことも、自分を大切にすること
乳がんの手術や治療のあと、身体にはさまざまな変化が起こることがあります。
リンパ浮腫がある方にとって、蜂窩織炎は知っておきたい合併症のひとつです。
赤み、熱感、腫れ、痛み、発熱など、
「いつもと違う」
と感じる変化があれば、我慢せず医療機関へ相談してください。
皮膚科、乳腺外科など、どこを受診すればよいか迷ったときは、まずかかりつけの医療機関に電話で相談してもかまいません。
そして、何も症状がないときには、
皮膚を清潔に保つ。
保湿をする。
小さな傷をできるだけ作らない。
身体の変化に気づく。
そんな毎日の小さな積み重ねも、自分の身体を大切にするケアのひとつです。
治療が終わったあとも、一人じゃない。
はんなりは、これからの毎日を自分らしく過ごしていくための、身体と心のケアに寄り添います。
※この記事は、蜂窩織炎についての一般的な情報をお伝えするものです。症状がある場合は、この記事だけで判断せず、医療機関にご相談ください。

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