2016年9月。
私は、乳がん術後のケアを専門とするサロン「はんなり」を開きました。
当時、乳腺外科で理学療法士として働いていた私は、手術後も肩や腕の痛み、つっぱり、リンパ浮腫、そして「これからどう生活していけばいいのだろう」という不安を抱えながら過ごす方々と、毎日のように向き合っていました。
病院での治療やリハビリが終わっても、日常生活では困りごとが続いている。
そんな方が安心して相談できる場所が必要だと感じたことが、「はんなり」を始めたきっかけです。
でも、その想いを伝えることは簡単ではありませんでした
「乳がん術後ケア専門サロン」とお伝えしても、当時はその言葉自体がほとんど知られていませんでした。
「がんを治すための代替療法ですか?」
「乳房をマッサージするのですか?」
そんなご質問をいただくことも少なくありませんでした。
私がお手伝いしたかったのは、がんを治療することではありません。
手術や治療によって起こる身体の変化に寄り添い、その方が自分らしい生活を取り戻せるよう支えること。
理学療法士として、生活そのものを支えたい。
その想いを理解していただくまでには、たくさんの時間が必要でした。
乳がん術後の身体の変化やケアについて、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
▶乳がん手術後、みんな何に悩んでいる?来店理由を理学療法士が解説
開業当時のチラシ

開業当時(2016年)のチラシです。
まだ「乳がん術後ケア」という言葉を知らない方がほとんどだったため、この一枚で何をするサロンなのかを一生懸命お伝えしていました。
今見ると少し懐かしいデザインですが、この一枚には、「退院後も安心して相談できる場所をつくりたい」という、開業当時の想いが詰まっています。
少しずつ広がってきた乳がん術後ケア

当時は、今ほどSNSも普及しておらず、乳がん術後ケアについて発信している人も多くありませんでした。
それでも少しずつ、「こんな場所を探していました」と言ってくださる方が増え、ご紹介で来てくださる方も増えていきました。
そして今では、リンパ浮腫セラピストや乳がん術後ケアに携わる専門職、サロンも増え、以前より認知されるようになりました。
必要な方が情報にたどり着きやすくなったことを、とても嬉しく感じています。
リンパ浮腫については、こちらの記事でご紹介しています。
▶リンパ浮腫を「正しく恐れる」ということ|乳がん術後に知っておきたいリスクと向き合い方
原点は、今も変わりません

あれから9年。
サロンの名前を知ってくださる方も増えましたが、私が大切にしたいことは開業当時と変わりません。
痛みだけを見るのではなく、その方の暮らしを見ること。
身体を整えることと同じくらい、「安心して話せる場所」であること。
治療が終わっても、身体や心の悩みがなくなるわけではありません。
だからこそ、その方が自分らしい毎日を過ごせるよう、身体だけでなく、暮らしや気持ちにも寄り添うケアを大切にしています。
治療のその先も、その人らしく。
この想いは、2016年にサロンを始めた頃から、今も変わることなく私の原点です。
これからも初心を忘れず、一人ひとりの歩みに寄り添いながら、安心して相談できる場所であり続けたいと思っています。

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