「うちは、がん家系じゃないから大丈夫」
そんなふうに思って、がん検診を受けていない方はいませんか?
反対に、
「家族にがんが多いから、私もがんになるのでは……」
と、不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
実は、どちらも少し違います。
家族にがんが多いからといって、必ずがんになるわけではありません。
そして、家族にがんがいないからといって、がんにならないわけでもありません。
今回は、「がん家系」という言葉について、そして私自身が感じていることをお話しします。
「がん家系」ってあるの?

家族の中に同じようながんが複数みられると、「うちはがん家系なのかな」と考えることがあります。
がんには、遺伝的な要因だけでなく、年齢、生活習慣、環境など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、家族にがんが多いからといって、必ずしも「遺伝によるがん」というわけではありません。
一方で、乳がんでは、BRCA1・BRCA2などの生まれ持った遺伝子の変化が関係する「遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)」などもあります。
家族に乳がんや卵巣がんなどが重なっている場合には、主治医に家族歴を伝え、必要に応じて遺伝カウンセリングなどについて相談することがあります。
つまり、
「がん家系」という言葉だけで、自分の将来のがんを決めることはできません。
「がん家系じゃないから、検診は受けなくていい」ではありません
ここは、ぜひ知っておいてほしいことです。
家族に乳がんになった人がいないと、
「うちは大丈夫だろう」
「家族に誰もいないから、乳がんになるとは思わない」
と思ってしまうことがあります。
でも、家族に乳がんがいないことは、乳がんにならないという意味ではありません。
乳がんは、遺伝性のものだけではないからです。
だからこそ、家族歴にかかわらず、対象年齢になったら定期的に乳がん検診を受けることが大切です。
現在、日本の対策型乳がん検診では、40歳以上の女性を対象に、2年に1回のマンモグラフィ検診が推奨されています。
そして、検診で「異常なし」だったとしても、乳房に気になる変化があれば、次の検診を待つのではなく医療機関に相談しましょう。
私自身は「がん家系」です
ここからは、少し私自身の話をさせてください。
私の両親は、どちらもがんで亡くなりました。
特に母は、若くして亡くなっています。
そのため私は、
「母が亡くなった年齢を、自分も超えられるだろうか」
そんな不安を、どこかに持っています。
母が亡くなった年齢が近づいてくると、ふとそのことを思い出すこともあります。
怖い気持ちがなくなるわけではありません。
でも、その不安があるからこそ、
「検診をきちんと受けよう」
「自分の身体を大切にしよう」
と思うようになりました。
私にとっては、家族のがんという経験が、自分の健康と向き合うきっかけの一つになっているのだと思います。
「がん家系」は、怖さだけを残すものではないのかもしれません
「がん家系」と聞くと、
「自分もがんになるかもしれない」
という怖さを感じる方もいると思います。
もちろん、その不安を無理になくす必要はありません。
家族をがんで亡くした経験があれば、なおさらです。
でも、その経験を、
「だから私は何をしていこう?」
と考えるきっかけにすることもできます。
検診を受ける。
身体の変化に気づく。
気になることがあれば医療機関に相談する。
そして、毎日の生活の中で、自分の身体を少し気にかける。
そんな行動につながるのであれば、家族の経験は、自分自身を守るための大切なきっかけにもなるのではないでしょうか。
「がん家系だから怖い」も「がん家系じゃないから安心」も、どちらも決めつけなくていい
家族にがんが多いからといって、必ずがんになるわけではありません。
反対に、家族にがんがいないからといって、がんにならないわけでもありません。
だから、
「がん家系だから怖い」
と決めつけすぎなくていい。
そして、
「がん家系じゃないから大丈夫」
と安心しすぎる必要もありません。
大切なのは、家族歴だけで自分の未来を決めるのではなく、今の自分にできることをしていくこと。
検診を受けることも、その一つです。
自分の身体を大切にするために

乳がん検診は、「がんになる人を探すため」だけのものではありません。
何も症状がないときに、自分の身体を確認するための大切な機会です。
「まだ大丈夫」
「家族にいないから大丈夫」
そう思っている方にも、一度、検診について考えてほしいと思います。
そして、家族にがんの経験がある方へ。
不安になるのは、決して弱いことではありません。
大切な人を亡くした経験があるからこそ、自分の未来を心配することもあります。
その気持ちを抱えながらでもいい。
「怖いから、検診を受ける」
それでもいいのだと思います。
私自身も、家族のがんを経験したからこそ、これからも自分の身体を大切にしながら、検診を受けていきたいと思っています。
そして、この記事を読んでくださった方にも、
「家族にがんがいる・いない」にかかわらず、自分の身体を大切にするきっかけを持ってほしい。
そう願っています。
乳房の変化にも気をつけて
乳がん検診を定期的に受けることに加えて、普段から自分の乳房の状態を知っておく「ブレスト・アウェアネス」も大切です。
しこり、乳頭からの分泌、皮膚の変化など、いつもと違う変化に気づいたときには、検診の時期を待たずに医療機関へ相談しましょう。
検診を受けること。
自分の身体の変化に気づくこと。
そして、気になったら相談すること。
その一つひとつが、自分の身体を大切にすることにつながっていきます。

この記事は、乳がんやがん検診について考えるきっかけをお伝えするものです。検診の対象年齢や受診方法、家族歴についての相談は、お住まいの自治体や主治医・乳腺外科などの医療機関にご確認ください。

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