はんなりを始めて、10年になります。
私が病院を辞め、「乳がん術後の女性が安心して通える場所をつくりたい」とサロンを始めた理由については、こちらの記事にも書いています。
10年間を振り返ったとき、私は「何をしてきたのだろう」と考えました。
どんな施術をしてきたのか。
どんな知識を身につけてきたのか。
どんなサービスを作ってきたのか。
もちろん、それも大切なことです。
でも、もっと心に浮かんできたのは、
「私は、お客様とどう過ごしてきたのだろう」
ということでした。

これまで、たくさんの女性と出会いました。
乳がんの治療を受けている方。
治療を終えた方。
再発や転移と向き合っている方。
身体の痛みやつっぱり、むくみに悩んでいる方。
そして、病気をきっかけに、これからの人生について考え始めた方。
私は、その一人ひとりと過ごしてきた時間を思い出します。
私が人生の答えを決めるわけではない
病気になると、たくさんの選択を迫られます。
どこの病院で治療するのか。
どんな治療を受けるのか。
乳房再建をするのか、しないのか。
仕事を続けるのか、休むのか。
家族にどこまで話すのか。
治療が終わったあと、どんなふうに暮らしていくのか。
私は理学療法士なので、身体についてお伝えできることがあります。
「これは病院に相談したほうがいいですよ」とお伝えすることもあります。
ときには、少し口をはさむこともあります。
でも、その人の人生の答えを私が決めることはできません。
そして、決めてはいけないと思っています。
自分の人生は、自分で決めるしかない。
だから私は、必要な情報をお伝えしたうえで、その人の選択を見守ってきました。
「見守って待つ」ことも、私の仕事だった

すぐに決断できる人もいます。
なかなか決められない人もいます。
前向きになれるときもあれば、何も考えたくないときもあります。
治療を頑張れる日もあれば、立ち止まりたくなる日もあります。
私は10年間、そんな姿をたくさん見てきました。
そして、だんだんと思うようになりました。
人には、その人の時間がある。
だから、急かさない。
答えを急がせない。
私の価値観を押しつけない。
必要なときには手を差し出す。
でも、その人が自分で歩き出すまで待つ。
「見守って待つ」
それも、私にできる大切なケアなのだと思っています。
サロンの主役は、お客様です

私は、施術者が主役になってはいけないと思っています。
「私が治してあげる」
「私の言う通りにすれば大丈夫」
そんな関係にはしたくありません。
はんなりで過ごす時間の主役は、施術をする私ではなく、
そこに来てくださったお客様です。
私は、お客様の人生を代わりに生きることはできません。
代わりに決断することもできません。
「こうしたほうが幸せ」と決めることもできません。
できるのは、
身体のことを一緒に考えること。
必要な情報をお伝えすること。
少し身体をゆるめること。
話したいときには話を聞くこと。
そして、
その人が自分で考え、自分で選んでいく時間を、そばで見守ること。
それが、私の役割なのだと思っています。
私は「治してあげる人」ではない
もちろん、身体が少し楽になってほしい。
痛みやつっぱりが和らいでほしい。
動かしやすくなってほしい。
安心して日常生活を送ってほしい。
そのために、理学療法士としてできることは精一杯したいと思っています。
でも、
「私があなたを治してあげる」
という気持ちではありません。
そうではなく、
「あなた自身が、自分の身体と人生を取り戻していく。その過程を支える」
そんな存在でありたいと思っています。
10年間、お客様と過ごしてきて思うこと

10年前、はんなりを始めたときには、こんなふうに考えていたわけではありません。
目の前の方の身体を少しでも楽にしたい。
安心して過ごせる場所をつくりたい。
そんな思いから始めました。
でも、10年間、お客様と一緒に過ごしてきて、少しずつわかってきたことがあります。
人は、誰かに人生を決めてもらうのではなく、
迷いながら、
立ち止まりながら、
ときには遠回りをしながら、
自分で選んで、自分の人生をつくっていくのだということ。
そして、そのそばに誰かがいてくれるだけで、少し心強くなれること。
治療についても、暮らしについても、私は「正解はひとつではない」と考えています。
▶病院選びに「正解」はない|大切なのは、あなたが納得できること
だから私は、これからも、
「私はお客様とどう過ごしてきたか」
を大切にしていきたいと思っています。
何をしてあげたかではなく。
何人を変えたかでもなく。
その人が、その人らしく選んでいく時間を、どう一緒に過ごしてきたか。
それが、私にとっての「はんなりの10年」なのだと思います。
私は、あなたの人生の主役にはならない
私は、あなたの人生を変える人になりたいわけではありません。
「はんなりに来たから元気になった」
そう言っていただけたら、とても嬉しいです。
でも、それ以上に嬉しいのは、
「自分で決められた」
と思ってもらえること。
「私はこれでいいと思えた」
「もう少しやってみようと思えた」
「自分の身体を、もう少し大切にしてみようと思えた」
そんなふうに、お客様自身の中に何かが生まれることです。
そのとき、私は主役ではありません。
主役は、最初から最後までお客様です。
私は少し離れたところから、
必要なときにはそっと手を添えて、
必要でなければ一歩引いて、
その人がその人の人生を歩いていくのを見守っていたい。
▶闘病だけが、その人の人生ではない|乳がんを経験した女性に寄り添うということ
これからも、見守る人でありたい
10年目を迎えた今、改めて思います。
私は、これからも「答えを与える人」ではなく、
一緒に考える人でありたい。
「こうしなさい」と決める人ではなく、
選択肢を一緒に眺める人でありたい。
「私についてきてください」と言う人ではなく、
その人が自分の道を歩いていくのを見守る人でありたい。
そして、
必要なときには、少しだけ口をはさむ。
必要なときには、そっと手を添える。
でも、急かさずに待つ。
見守って、待つ。
それが、10年間お客様と過ごしてきた中で、私が大切にするようになったことです。
はんなりの主役は、私ではありません。
あなたです。
これからも私は、あなたの人生にそっと寄り添う理学療法士でありたいと思っています。
まとめ
【この記事で一番伝えたかったことを、簡潔にまとめます】
はんなりの主役は、施術をする私ではありません。
ここに来てくださる、お客様です。
私は理学療法士として、身体のことを一緒に考え、必要な情報をお伝えします。
ときには、少し口をはさむこともあります。
でも、その人の人生の答えを私が決めることはできません。
自分の人生をどう生きるか、最後に決めるのはその人自身です。
だから私は、答えを与える人ではなく、一緒に考える人でありたい。
必要なときには手を添え、必要でなければ一歩引く。
見守って、待つ。
10年間、お客様と過ごしてきて、それが私の大切な役割なのだと思うようになりました。
これからも、
「治してあげる人」ではなく、その人が自分の身体と人生を取り戻していく過程を支える人でありたい。
それが、10年目の今、私が改めて思っていることです。

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