「悪いことって、続くものですね」
お客様とお話ししていると、ときどき耳にする言葉です。
悪いことが続くと感じるとき、私たちの心の中では、いったい何が起きているのでしょうか。
ご自身が病気になっただけでも大変なのに、ご家族が入院されたり、ご両親の介護が始まったり、親族にも病気が見つかったり。
ひとつの出来事に向き合う間もなく、次の心配事がやってくる。
そんなとき、
「どうして、うちばかりこんなに続くんだろう」
「何か悪いことでもしたのかな」
「また何か起こるんじゃないか」
と思ってしまうことはありませんか。
実は、こうした感覚には、人間の脳が持つ、ある特徴が関係している場合があります。
偶然の出来事にも意味を見つけようとする脳
心理学には「クラスタリング錯覚(Clustering Illusion)」という言葉があります。
少し難しい名前ですが、簡単にいうと、
偶然に起きた出来事の集まりに、何か特別な意味や規則性があるように感じてしまうことです。
私たちの脳は、物事のつながりや規則性を見つけるのが得意です。
これは、危険を察知したり、過去の経験から学んだりするためにも大切な働きです。
ところが、その働きによって、本来は偶然に重なった出来事にも「何か理由があるはず」と考えてしまうことがあります。
コイン投げを想像してみてください

例えば、コインを何度も投げたとします。
表と裏が出る確率は、それぞれ2分の1。
なんとなく、
表・裏・表・裏・表・裏……
というように、交互に出るのが自然だと思いませんか。
でも、実際には、
表・表・表・表・表・裏……
と、同じ面が続けて出ることもあります。
コインに特別な力が働いたわけではありません。
偶然というのは、必ずしも均等に、きれいに散らばるものではないのです。
偶然だからこそ、ときには同じような出来事が集中することもあります。
悪いことが続くと、次も悪いことが起きる気がしてしまう
例えば、ある月に、
- 自分の病気が見つかった
- 家族が体調を崩した
- 車が故障した
- 親族が入院した
という出来事が重なったとします。
ひとつひとつでも大変なことです。
それが短い期間に集中すると、「最近、悪いことばかり起きる」と感じるのは自然なことでしょう。
そして、過去の出来事をひとつの流れとして結びつけてしまうと、
「次も何か悪いことが起こるのでは?」
と、まだ起きていない未来まで心配になってしまいます。
もちろん、すべての出来事が偶然で、互いに無関係とは限りません。生活環境や年齢、家族の状況など、共通する背景がある場合もあります。
ただ、悪い出来事が短期間に重なったという事実だけで、これから先も不運が続くと決まったわけではないのです。
悪いことが重なると、つい自分と誰かを比べてしまうこともあります。
自分のせいにしなくてもいい
病気や家庭の問題が続くと、その理由を探したくなることがあります。
「あのとき、こうしていれば」
「日頃の行いが悪かったのかな」
「何かの罰なのかもしれない」
そんなふうに考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、出来事が重なったことと、あなたの行いが悪かったことは別の話です。
何でも自分に原因を求めなくていいのです。
病気になったことも、家族に何かが起きたことも、それだけで誰かの責任になるわけではありません。
理由を探しても答えが出ないことは、世の中にたくさんあります。
▶ 関連記事:「どうして私だけ…」と思ったときに|乳がん治療中、人と比べてしまうあなたへ
まだ起きていないことまで、今日心配しなくていい
私は以前から、取り越し苦労はできるだけしないでいたいと思っています。
もちろん、不安になること自体が悪いわけではありません。
乳がんの治療中であれば、
「再発したらどうしよう」
「リンパ浮腫になったら?」
「家族にも何かあったら?」
と、先々のことを考えるのは無理もないことです。
必要な備えや定期的な検査は大切にしながらも、まだ起きていない出来事については、いったん棚上げしてもいいのではないでしょうか。
今日できることをする。
困ったことが起きたら、そのときに必要な人の力も借りながら考える。
すべての問題を、今日ひとりで解決する必要はありません。
先のことが心配で、今を楽しめなくなってしまうときに。取り越し苦労との付き合い方について、こちらの記事でもお話ししています。
▶ 関連記事:まだ起きていないことまで今日悩まなくていい
禍福は糾える縄の如し|私の座右の銘

私には、昔から大切にしている座右の銘があります。
「禍福は糾える縄の如し(かふくはあざなえるなわのごとし)」
幸福と不幸は、より合わせた縄のように、交互に巡ってくるという意味のことわざです。
人生には、良いことも悪いこともあります。
悪いことが重なって、どうしてこんなに続くのだろうと思うときもあります。
そんなとき、私はこの言葉を思い出します。
「今は悪いことが続いているけれど、きっと次には良いことがある」
そう思って、つらい時期を耐えてきたこともあります。
もちろん、悪いことの次に必ず良いことが起きるという、科学的な法則があるわけではありません。
それでも、今のつらさが永遠に続くわけではないと思えることは、私にとって大切な心の支えです。
先ほどご紹介したクラスタリング錯覚を知ることで、「悪いことが続いているから、次も悪いことが起きる」という思い込みから、少し距離を置くことができます。
そして、この座右の銘は、私にもう少し先の未来を信じる気持ちを持たせてくれます。
悪いことが重なっているときに、無理に前向きになる必要はありません。
今は耐えるだけで精いっぱい、という日があってもいいと思います。
ただ、今日が大変だったからといって、明日も、その先も、ずっと同じとは限りません。
悪いことが重なったあとに、良いことがあってもいい。
そう思える余白を、心のどこかに残しておきたいですね。
はんなりより
リラクゼーションサロンはんなりでは、乳がんの治療中・術後の女性をはじめ、さまざまな身体の不調や疲れを抱える女性をお迎えしています。
理学療法士として身体の状態を確認しながら、その日の体調に合わせたリラクゼーションケアをご提供しています。
身体のこと、日々の暮らしのこと。
無理にお話ししなくても、ただ静かに過ごしていただいても構いません。
少しだけ、ご自身のための時間を持っていただけたらと思います。
はんなりについて
リラクゼーションサロンはんなりは、女性専用・完全予約制の個室サロンです。
乳がんの治療中・治療後の方にも、安心して過ごしていただける場所を目指しています。
施術を担当するのは、病院で乳がん術後のリハビリに携わってきた女性理学療法士です。
肩や腕のつっぱり、身体の疲れやむくみなど、その日の状態を伺いながら施術内容を調整します。
「まずは話を聞いてほしい」
「こんな状態でも受けられるのかな」
そんなご相談からでも大丈夫です。
西鉄久留米駅から徒歩約3分。
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