乳がんを経験すると、
それまでの人生では出会うことのなかった人と、出会うことがあります。
私は以前、病院のリハビリテーション科に勤務していました。
その病院には女性病棟があり、
乳がんの治療を受ける方が多く入院されていました。
中には、乳がんの患者さん同士が同じ相部屋で過ごすこともあります。
入院中は、治療のことを話したり、
手術のことを話したり。
「今度、私も手術なんです」
「私も同じ治療を受けましたよ」
そんな会話から、少しずつ距離が近くなっていく。
そして退院したあとも、
LINEで連絡を取り合ったり、
一緒にランチをしたり。
何年経っても交流が続いている方たちもいました。
お互いのことを「がん友」と呼んでいる方もいました。
「がん友」だけど、付き合い方は女子会と同じ
私がとても印象に残っているのは、
その方たちの関係が、必ずしも「病気の話をする仲間」だけではなかったことです。
もちろん、
「治療どうだった?」
「最近、体調どう?」
そんな話もあるでしょう。
でも、それだけではありません。
美味しいものを食べに行ったり、
近況を話したり、
たわいもない話で笑ったり。
端から見ていると、
普通の女子会と何も変わらないのです。
「がん友」と呼び合ってはいるけれど、
お付き合いそのものは、
病気だけでつながっている関係ではない。
そんな姿が、とても素敵だなと思っていました。
大人になると、友人をつくるのは意外と難しい

学生の頃は、学校に行けば友達がいて、
同じ時間を過ごすうちに自然と仲良くなっていきました。
でも、大人になるとどうでしょう。
仕事や家庭、それぞれの生活があり、
新しく友人をつくる機会は、案外少ないものです。
「友達が欲しい」と思っていても、
学生の頃のように自然に仲良くなるきっかけは、なかなかありません。
そんな中で、乳がんという経験をきっかけに、
一気に距離が近くなることがあります。
病気という共通の経験があるからこそ、
最初から少し深い話ができる。
「わかる、私も」
と言えることがある。
普段なら、何年もかけて少しずつ知っていくようなことを、
乳がんという経験を通して、
早い段階で分かり合えることもあるのかもしれません。
病気がつないでくれた、人と人とのご縁
もちろん、乳がんを経験したことを
「よかった」とは簡単には言えません。
できることなら、病気にならずに過ごしたかった。
そう思うのは当然です。
それでも、その経験の中で出会った人がいる。
一緒に不安を乗り越えた人がいる。
退院してからも連絡を取り合い、
ランチをして、
病気とは関係のない話をして笑える友人ができる。
そんな出会いがあることも、
乳がんという経験の一つなのだと思います。
「がん友」という言葉には、
同じ病気を経験した仲間という意味があります。
でも、その関係は、
いつまでも「病気仲間」のままとは限りません。
乳がんをきっかけに出会って、
そこから一人の女性として、
一人の人として、お互いを知っていく。
気がつけば、
「がん友」というより、
ただの大切な友人になっている。
そんな関係もあるのだと思います。
だから、「エールの会」を続けています
私が「エールの会」を開いている理由の一つも、
ここにあります。
乳がんを経験した方が、
「同じ経験をした人と話してみたい」と思ったときに、
安心して人と出会える場所があったらいいな。
そんな思いから、エールの会を続けています。

もちろん、乳がんについて話してもいい。
治療のことや、
身体のこと、
これからのこと。
普段はなかなか人に話せないことを、
ここでは話すことができます。
でも、ずっと病気の話をしなくてもいいのです。
笑ってもいい。
たわいもない話をしてもいい。
「今日は来てよかったな」と思って帰ってもらえたら、
それだけでも十分だと思っています。
もしかしたら、今日初めて会った人が、
これから先の人生で、
大切な友人になるかもしれません。
病気を経験したからこそ、
出会えた人。
病気がなければ、
きっと出会っていなかった人。
人生には、そんな不思議なご縁もあります。
「一人じゃない」と思えること
乳がんの治療中や治療後には、
身体のことだけではなく、
気持ちの面でも孤独を感じることがあります。
治療が終わっても、不安がなくなるとは限りません。そんな気持ちについて、こちらの記事にも綴っています。
周りには元気に見えていても、
心の中には不安を抱えている。
そんなとき、
「私もそうだったよ」
と言ってくれる人がいるだけで、
少し安心できることがあります。
一人で抱えなくていい。
不安な気持ちは、誰かに話すことで少し軽くなることもあります。
▶眠れない夜を、一人で抱え込まないででは、治療中や治療後の不安と眠りについて綴っています。
そして、その出会いがいつか、
「病気のことを話せる人」
から、
「一緒にご飯を食べたい人」
へ変わっていく。
そんな関係が生まれたら、
とても素敵なことだと思います。
治療が終わったあとも、一人じゃない。
病気の経験を、
病気だけで終わらせない。
そこから新しい出会いや、
新しいつながりが生まれることもある。
エールの会が、
そんな出会いのきっかけの一つになれたらと思っています。
乳がんを経験した女性が、
少し肩の力を抜いて、
笑って過ごせる時間。
そして、
「また会いたいね」
と言える人に出会える場所。
そんな会を、これからも大切にしていきたいと思っています。
▼乳がんを経験した女性が集まる「エールの会」についてはこちら
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治療が終わったあとも続く、不安な気持ちについて綴っています。
→ 眠れない夜を、一人で抱え込まないで
治療中や治療後の不安と、眠れない夜について。
→ 乳がんを経験した女性が集まる「エールの会」
同じ経験をした女性と出会い、話したり、笑ったり。そんな時間を一緒に過ごす会です。

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