球体模様
乳がんと心・生活

あなたらしさは、あなたが決めていい

あなたらしさは、あなたが決めていい

「私らしさって、なんだろう」

病気をしたあと、そんなふうに考えることはありませんか?

乳がんの治療を経験すると、身体の変化だけでなく、
これまで当たり前だと思っていた「自分自身のイメージ」が揺らぐことがあります。

乳房の変化。
髪や肌の変化。
体力の低下。
治療による体調の変化。

そして、ときには、

「女性としての自分は、これまでと変わってしまったのではないか」

そんな気持ちになることもあるかもしれません。

でも、ひとつ覚えておいてほしいことがあります。

あなたらしさを決めるのは、あなたです。


「女性らしく」と言われ続けてきた私たち

「鏡の前で髪を整える40代女性」

女性は、人生の中でさまざまな「らしさ」を求められてきました。

小さい頃には、

「女の子らしく」

と言われることがあります。

大人になれば、

「女性らしく」

親からは「娘らしさ」を求められ、
結婚すれば「妻として」、
子どもが生まれれば「母親として」。

年齢を重ねれば、

「おばさんらしく」

と、また別の「らしさ」を求められる。

気がつけば、私たちはいつも、

「こうあるべき女性」

という誰かが決めたものさしに、自分を合わせてきたのかもしれません。

そして病気になると、

「病人らしく、無理をしないで」
「ちゃんと療養しなくては」

と、今度は「病人としての自分」を求められることもあります。

そうすると、いつの間にか、

「私は、私らしくいられているのかな」

と感じてしまうことがあるのではないでしょうか。


乳がんになったからといって、女性ではなくなるわけではありません

乳がんは女性に多い病気です。

だからこそ、乳房や身体の変化が、
女性としての自分のイメージやアイデンティティに影響することがあります。

手術をしてから、

「以前の自分とは違う気がする」

「女性としての自信がなくなった」

「鏡を見るのがつらい」

そんな気持ちになる方もいらっしゃるでしょう。

でも、

乳がんになったから女性ではなくなった、ということではありません。

乳房の形が変わっても、
髪が抜けても、
体力が落ちても、
以前のように身なりを整えられない時期があっても、

あなたの価値が変わるわけではありません。

世の中がつくった「完璧な女性の姿」に、自分が当てはまっていないからといって、何も問題はないのです。


「女性らしく」と「あなたらしく」は同じではありません

女性らしくあることと、あなたらしくあることは、イコールではありません。

お化粧をすること。
おしゃれをすること。
髪を整えること。
きれいな服を着ること。

それらは、「女性らしくあるため」にしなければならないことではありません。

あなたが、

「この服を着ると気分がいい」
「髪を整えると、自分らしい気がする」
「今日は何もしたくない」

そう思うなら、それでいい。

身なりを整えることも、整えないことも、
あなたが自分らしく過ごすために選んでいいことなのだと思います。


「母親らしくできない」と思う日も

女性の中には、妻や母として、家族を支える役割を担っている方も多いでしょう。

だからこそ、治療中や体調がすぐれないと、

「母親なのに、何もできない」
「寝てばかりで、母親らしくない」
「家族に迷惑をかけている」

そんなふうに自分を責めてしまうことがあります。

でも、

体調が悪くて寝ていることは、母親失格ではありません。

以前の元気だった自分や、周りの人と比べなくて大丈夫です。

お子さんにとって、あなたの代わりになる母親はいません。

料理を作れない日があっても。
家事ができない日があっても。
一緒に遊べない日があっても。

あなたがそこにいてくれることそのものが、家族にとって大切なことなのではないでしょうか。

「何かをしてあげられる自分」だけが、価値のある自分ではありません。


他人のものさしで、自分を測らなくていい

病気になると、

「元気だった頃の自分」
「同じ病気をした人」
「SNSで見る人」
「周りの同年代の女性」

そんな人たちと、自分を比べてしまうことがあります。

でも、人の身体も、生活も、治療も、心の状態も、一人ひとり違います。

だから、

誰かのものさしで、自分を測らなくていいのです。

今のあなたにできることを、今のあなたのペースで。

何もできない日があっても、それもあなたの時間です。


「私らしさ」を忘れてしまったら

自然の中をゆっくり歩く50代女性

もし今、

「自分らしさがわからなくなった」

と感じているなら、少し昔の自分を思い出してみてください。

子どもの頃、どんな遊びが好きでしたか?

どんな友達と一緒にいるのが楽しかったですか?

どんなことをしていると、時間を忘れましたか?

誰かから、どんな言葉をかけられたときに嬉しかったですか?

どんな服が好きでしたか?

どんな場所にいると、ほっとしましたか?

そこには、きっとあなたらしさのヒントがあります。

あなたの中には、これまで生きてきた時間の中で育まれてきた、

「あなたらしさ」

が、たくさん詰まっています。

病気になったからといって、それがなくなったわけではありません。

少し見えにくくなっているだけかもしれません。


あなたは、あなたのままでいい

「女性はこうあるべき」
「母親はこうするべき」
「病気になったらこうするべき」

そんな世の中の「らしさ」に、自分を合わせなくても大丈夫。

元気な日も、
しんどい日も、
何もしたくない日も。

おしゃれをしたい日も、
何もしたくない日も。

誰かのために頑張れる日も、
自分のことで精一杯の日も。

あなたは、あなたのままでいいのです。

乳がんを経験したあなたにも、
その先の人生があります。

病気だけが、あなたを表すものではありません。

これまでの人生も、好きなことも、大切にしてきた人も、これからやってみたいことも。

そのすべてが、あなたです。

どうか、誰かが決めた「女性らしさ」ではなく、

あなた自身が決める「あなたらしさ」を大切にしてください。

そしてもし、今それを見失っているのなら。

焦らなくて大丈夫です。

ゆっくりでいい。

あなたの中にある「あなたらしさ」を、少しずつ思い出していきましょう。

治療が終わったあとも、一人じゃない。

はんなりは、そんなあなたの人生に、そっと寄り添っていきたいと思っています。

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中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

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