「手や脚がむくんでいるから、水分は控えたほうがいいのかな?」
乳がんの手術後や治療中、このように考えたことがある方もいるかもしれません。
むくみがあると、「これ以上、水分を摂ったらもっとむくんでしまうのでは?」と心配になりますよね。
でも、むくみがあるからといって、自己判断で水分を極端に控える必要があるとは限りません。
乳がんの治療中や術後のむくみには、さまざまな原因があります。
だからこそ、「むくんでいるから水分を減らそう」と一人で判断するのではなく、身体で何が起きているのかを知ることが大切です。
今回は、乳がん術後や治療中のむくみと水分補給についてお伝えします。
むくみ=水分の摂りすぎ、とは限りません

むくみ(浮腫)は、身体の組織の中に水分がたまった状態です。
そのため、
「水分をたくさん飲んだからむくんだのでは?」
と思う方も多いのですが、むくみの原因は水分摂取だけではありません。
身体の中では、血管や組織、リンパ管などが関わりながら、水分のバランスが保たれています。
そのバランスが崩れることで、むくみが起こることがあります。
たとえば、
- 長時間同じ姿勢でいる
- 身体を動かす機会が減っている
- 手術や治療の影響がある
- 薬の影響がある
- 栄養状態が変化している
- リンパの流れが影響を受けている
など、原因はさまざまです。
だからこそ、「むくんでいる=水分を摂りすぎている」とは一概に言えません。
水分を極端に控えることで、体調を崩すこともあります
水分が不足すると、脱水につながることがあります。
治療中は、
- 食欲がない
- 吐き気がある
- 下痢が続いている
- 発熱している
- 暑い時期で汗をかいている
など、知らないうちに身体から水分が失われていることもあります。
水分が不足すると、だるさや頭痛、便秘、めまいなどにつながることもあります。
また、身体の水分バランスが崩れることで、むくみの状態を判断しにくくなることもあります。
むくみが気になるからといって、自己判断で水分を極端に減らすことはおすすめできません。
ただし、心臓や腎臓の病気などがあり、医師から水分制限を指示されている場合は、その指示に従ってください。
むくみには「栄養状態」が関係することもあります
身体の水分バランスには、血液中のタンパク質も関係しています。
特に、アルブミンなどのタンパク質が低下すると、血管の中に水分を保つ働きが弱くなり、むくみにつながることがあります。
治療中は、
「食べたいけれど食べられない」
「以前より食事量が減っている」
ということもありますよね。
むくみがあるときは、水分だけを見るのではなく、食事や栄養状態も含めて身体全体をみることが大切です。
乳がん治療中・術後に考えられるむくみの原因
乳がんの治療中や術後に起こるむくみには、さまざまな原因があります。
薬の影響
抗がん剤やホルモン療法などの影響で、むくみを感じることがあります。
治療薬によって起こりやすい症状は異なるため、「治療を始めてからむくみが気になるようになった」という場合は、主治医に相談してみましょう。
リンパ浮腫
乳がんの手術やリンパ節への治療、放射線治療などの影響によって、腕や手、胸まわりなどにリンパ浮腫が起こることがあります。
「以前より腕が重い」
「手の指輪がきつくなった」
「左右で腕の太さが違う気がする」
「皮膚が張る感じがする」
このような変化がある場合は、早めに医療機関へ相談することが大切です。
身体を動かす機会が減っている
術後の痛みや治療による疲労で、以前より身体を動かす時間が減ることもあります。
筋肉には、身体の血液やリンパ液の流れを助ける働きがあります。
ずっと同じ姿勢でいることが多いと、特に脚などにむくみを感じやすくなることがあります。
無理のない範囲で身体を動かすことも、身体の循環を保つための一つです。
「しっかり飲んでいるつもり」でも、水分が足りていないことも
「私はちゃんと飲んでいます」
そう思っていても、実際には水分が足りていないこともあります。
特に治療中は、食事量が減ることで、食事から摂れていた水分も少なくなります。
また、暑い季節は汗によって水分が失われやすくなります。
コーヒーやお茶だけになっていませんか?

コーヒーや緑茶、紅茶にも水分は含まれています。
カフェインには利尿作用がありますが、通常の範囲で飲むことで、飲んだ水分がすべて失われてしまうわけではありません。
ただし、コーヒーやお茶ばかりでなく、水やカフェインレスのお茶なども取り入れながら、水分を補給すると安心です。
トイレの回数や尿の状態も、身体からのサイン
トイレの回数が極端に少ない、尿の色が濃い状態が続くなどは、水分不足の一つの目安になることがあります。
ただし、尿の状態だけで脱水や水分量を判断することはできません。
「いつもと違うな」と感じたときは、体調全体をみながら、必要に応じて医療者へ相談してください。
下痢や食欲不振があるときは、特に注意
抗がん剤治療中などに、
- 下痢が続く
- 嘔吐がある
- 食事がほとんど摂れない
といった症状がある場合は、水分や電解質が不足することがあります。
「むくんでいるから水分を減らそう」と考える前に、まずは現在の体調を主治医や看護師に伝えてください。
むくみがあるときこそ、一人で判断しないでください
乳がんの治療中や術後の身体は、手術や治療の影響を受けながら、少しずつ変化していきます。
昨日は気にならなかったことが、今日は気になる。
「これって大丈夫かな?」
そう思うこともあるかもしれません。
むくみも、その一つです。
むくみがあるからといって、すべてがリンパ浮腫とは限りません。
反対に、「ただのむくみだろう」と思っていたら、早めに相談したほうがよい場合もあります。
だからこそ、原因が分からないむくみを、一人で我慢したり、自己判断で水分を制限したりしないことが大切です。
特に、
- 急にむくみが強くなった
- 片側だけが大きく腫れている
- 赤みや熱感、痛みがある
- 息苦しさや胸の痛みがある
などの場合は、早めに医療機関へ相談してください。
まとめ|水分を我慢するより、まず「むくみの理由」を知ること

乳がん術後や治療中にむくみが気になると、
「水分を減らしたほうがいいのかな」
と思うかもしれません。
でも、むくみの原因は水分の摂りすぎだけではありません。
大切なのは、むくみがあることだけを見るのではなく、今の身体に何が起きているのかを考えることです。
医師から水分制限の指示がない場合は、極端に水分を控えず、体調に合わせてこまめに補給しましょう。
そして、
「いつもと違う」
「むくみが続いている」
「治療を始めてから気になるようになった」
そんなときは、一人で抱え込まず、主治医や看護師に相談してください。
治療中の身体は、日々変化します。
だからこそ、我慢するよりも、身体の小さな変化に気づいてあげること。
そして、必要なときには誰かに相談すること。
はんなりでは、乳がん術後の身体の変化や、肩や腕の動かしにくさ、むくみへの不安についても、一人ひとりのお話を伺っています。
「こんなこと相談していいのかな?」
そんな小さな不安でも大丈夫です。
治療が終わったあとも、一人じゃない。
自分の身体を責めず、少しずつ、これからの身体と付き合っていきましょう。
あわせて読みたい
- リンパ浮腫を「正しく恐れる」ということ|乳がん術後に知っておきたいリスクと向き合い方
- 乳がん治療後のリンパ浮腫と弾性着衣について
- 乳がん治療後に気をつけたい蜂窩織炎|赤み・熱・腫れがあるとき
- 乳がん手術後に気を付けたい症状とは?

前の記事