「あの人のほうが幸せそう」
「どうして私だけ、こんなに大変なんだろう」
そんなふうに、人と自分を比べてしまうことはありませんか?
病気をしたことがない人。
いつも元気そうな人。
家族が仲良く見える人。
経済的に余裕がありそうな人。
子どもが希望する学校に入った人。
自分と近い環境にいる人ほど、つい自分と比べてしまうことがあります。
年齢が近い。
同じ仕事をしている。
同じ地域に住んでいる。
子ども同士が友達。
そんな「自分と少し似ている人」だからこそ、
「どうして私だけ……」
「私もあんなふうだったらいいのに」
と、羨ましく思ったり、落ち込んだりすることがあるのではないでしょうか。
「隣の芝生は青い」といいますが
「隣の芝生は青い」という言葉があります。
隣の芝生にも、その人にしか分からない悩みや心配ごとがある。
人からは見えないところで、頑張っていることがある。
頭では、そう分かっていることもあります。
でも、自分がつらい状況にいるときには、そこまで思いを巡らせる余裕がなくなることもあります。
自分の体調が悪いときには、世の中の人がみんな健康で元気に見えてしまう。
自分の生活に不安があるときには、周りの人がみんな幸せに見えてしまう。
そんなとき、
「どうして私だけ……」
という気持ちが出てくることがあります。
でも、それは「相手が本当に幸せで、自分だけが不幸」という意味ではありません。
ただ、自分が今つらいからこそ、周りの人の幸せそうな部分が強く見えているのかもしれません。
もしかすると、相手から見たあなたも、
「元気そうでいいな」
「幸せそうでいいな」
と思われているかもしれません。
人は、自分が見えている部分だけを比べてしまいがちです。
乳がんの治療中も、「どうして私だけ」と思うことがあります

乳がんの治療をしているときは、特に人と比べてしまう場面が増えることがあります。
「私より早く退院した人」
「抗がん剤治療をしなくてよかった人」
「家族がいつもお見舞いに来てくれる人」
「治療中でも元気に活動している人」
「私より症状が軽そうな人」
そんな姿を見て、
「どうして私はこんなに大変なんだろう」
「どうして私だけ、こんな治療を受けなければいけないんだろう」
と思ってしまうこともあるでしょう。
反対に、自分より大変な治療をしている人を見て、
「私のほうがまだ大丈夫」
と、自分に言い聞かせることもあるかもしれません。
けれど、乳がんの症状や治療の経過は、本当に人それぞれです。
同じ乳がんでも、手術の内容も、治療方法も、治療期間も、体調も、生活環境も違います。
だから、本当は比べる必要はないのです。
それでも比べてしまう。
それは、仕方のないことだと思います。
「比べてしまう自分」を責めなくていい
誰かを羨ましく思ったとき、
「こんなことを思うなんて、自分は嫌な人間だ」
と、自分を責めなくても大丈夫です。
むしろ、
「私、今ちょっと頑張りすぎているのかな」
「今、疲れているのかもしれないな」
と、自分の心に気づいてあげてください。
「どうして私だけ」と思う気持ちの奥には、
「本当は私も元気になりたい」
「私も安心したい」
「私も楽しく過ごしたい」
という、自分自身の願いが隠れていることがあります。
だから、その気持ちを責めるのではなく、
「今の私は、少し疲れているんだな」
と、自分をいたわるきっかけにしてみませんか?
小さな「自分へのご褒美」を

心が疲れているときは、大きなことをしなくてもいいのです。
好きなスイーツを買って帰る。
気になっていた服を見に行く。
いつもより少しだけいいお肉を買って、家族と食べる。
本屋さんに立ち寄って、気になる本を一冊買う。
お風呂に好きな香りの入浴剤を入れる。
美容室で髪をきれいにしてもらう。
お気に入りの音楽を聴く。
温かい飲み物をゆっくり飲む。
そんな小さなことでいいのです。
「今日は自分のためにこれをしてあげよう」
という時間をつくってください。
心が冷えているときには、まず自分の心を温めてあげる。
それだけでも、少し気持ちが変わることがあります。
比べてしまったら「私は私」と戻ってくる
もし、また誰かと自分を比べてしまったら、
「私は私」
と、心の中でそっと唱えてみてください。
あの人には、あの人の人生がある。
私には、私の人生がある。
治療の進み方も違う。
体力も違う。
生活も違う。
家族との関係も違う。
だから、同じでなくていいのです。
昨日の自分と比べて、今日は少し楽に動けた。
今日はよく眠れた。
今日は笑うことができた。
そんな小さな変化に目を向けてあげてください。
携帯電話の写真フォルダを開いてみませんか?

それでも気持ちが沈んでしまうときは、携帯電話の写真フォルダを開いてみてください。
そこには、あなたが大切に思っている人の写真があるかもしれません。
家族。
友人。
大切な人。
かわいいペット。
あなたのことを大切に思ってくれている人たちの写真を、ゆっくり眺めてみてください。
そして、
「大丈夫。私には応援してくれる人がいる」
と思ってみてください。
たとえ、今すぐそばにいなくても。
あなたのことを心配している人。
あなたの幸せを願っている人。
あなたのことを大切に思っている人。
きっと、あなたの周りにはいます。
人と比べることより、自分を大切にするほうへ

人と比べてしまうことは、悪いことではありません。
それだけ、自分の人生を一生懸命生きているからこそ、周りが気になることもあります。
「どうして私だけ」と思ってしまう日があっても大丈夫。
そんなときは、
「私は私」
と、自分のところへ戻ってきてください。
誰かの幸せを見て落ち込むより、
「私は今、何をしたら少し心地よくなれるかな?」
と、自分に問いかけてみる。
温かいものを食べる。
好きなものを見る。
ゆっくりお風呂に入る。
誰かに話を聞いてもらう。
何もしないで休む。
小さなことで大丈夫です。
治療中も、治療が終わったあとも、心と身体はあなたと一緒に頑張っています。
だから、ときどき立ち止まって、
「今日もよく頑張ったね」
と、自分自身に声をかけてあげてください。
人と比べなくても、あなたの人生には、あなたにしかない大切な時間があります。
あなたは、あなたのままで大丈夫です。
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