球体模様
はんなりについて

「気にしすぎ」と言わないこと|歯医者さんで教えてもらった、相手の感覚を大切にする接客

「気にしすぎ」と言わないこと|歯医者さんで教えてもらった、相手の感覚を大切にする接客

先日、歯医者さんで、とても嬉しいことがありました。

大げさなことではありません。

たぶん、周りから見ればほんの小さなことです。

でも私にとっては、

「わかってもらえた」

と思える、とても嬉しい出来事でした。

首まわりに触れるものが、少し苦手です

首まわりの違和感を気にする女性

私は首のまわりに感覚過敏があり、何かが触れている状態が苦手です。

特に仰向けになると、その感覚が強くなります。

丸首のTシャツでも、首もとが触れていると気になってしまい、首の部分をぐっと伸ばさないと眠れないくらいです。

でも、周りの人は普通にTシャツを着て眠っています。

だからずっと、

「私が変なんだろうな」

「こんなことが気になるのは、私だけなんだろうな」

と思っていました。

歯医者さんでかけてもらう紙のエプロンも、美容室で首まわりにつけるタオルやガウンも苦手です。

でも必要なものだとわかっているので、これまでは我慢してきました。

「こんなことを言っても、わかってもらえないだろうな」

「変な人だと思われたら恥ずかしい」

そんな気持ちもあったのだと思います。

だから、気づかれないように少し引っ張ってみたり、首から離そうとゴソゴソ動かしたりしていました。

「気持ち悪いんでしょ?」

ある日、いつものように紙のエプロンを少し引っ張っていると、歯科衛生士さんが気づいて、

「気持ち悪いんでしょ?」

そう言ってくれたのです。

びっくりしました。

「わかるんだ」

と思いました。

大げさに説明したわけでもありません。

こちらから「外してください」とお願いしたわけでもありません。

私のちょっとした動きを見て、

「この人はこれが嫌なんだ」

と気づいてくれたのです。

そして何より嬉しかったのは、笑われなかったことでした。

「そんなこと気にするんですか?」

「あなただけです」

そんなふうに言われることもありませんでした。

ただ、そのまま受け止めてもらえました。

自分だけがおかしいと思って、ずっと隠そうとしていたことを、誰かに当たり前のように受け止めてもらう。

それだけで、こんなに心が軽くなるんだと思いました。

その後、先生が治療に来られました。

いつもあるはずのエプロンがないので、先生は少し「?」という様子。

すると歯科衛生士さんが事情を説明してくれました。

そして、ずっとエプロンをつけておくのではなく、本当に必要なときだけかけることになりました。

私が自分で何度も説明しなくてもいいように、間に入って伝えてくれたことも嬉しかったです。

半年後、もっと驚きました

歯科衛生士と安心して話す女性

治療が終わり、半年ほど経ってから、またその歯医者さんへ行きました。

私はもう、以前のことを特に伝えませんでした。

ところが歯科衛生士さんは何も言わず、紙のエプロンが首に触れにくいよう少し下のほうにずらし、タオルで押さえてくれました。

「あ、覚えてくれている」

と思いました。

もしかするとカルテに書いてくださっていたのかもしれません。

それともスタッフの方が覚えていてくださったのかもしれません。

どちらなのかはわかりません。

でも私にとって大切だったのは、

一度伝わった私の感覚が、半年後にも大切にされていたこと。

でした。

「そんなことくらい」と扱われなかった

首に物が触れる。

たったそれだけのことです。

痛いわけでもありません。

治療に直接関係することでもないでしょう。

そして、ほかの人には平気なことかもしれません。

でも、ほかの人が平気だからといって、私も平気とは限らない。

今回、その当たり前のことに、自分自身が気づかされました。

「これくらい我慢しないと」

「私が気にしすぎなんだろう」

「こんなことを言ったら恥ずかしい」

そう思っていた私の感覚を、その歯科衛生士さんは無視しませんでした。

理由を問い詰めることもなく、

「この人はこれが苦手なんだ」

と受け止めて、できる範囲で方法を変えてくれました。

私はそこに、とても深いホスピタリティを感じました。

私も、こういう人でありたい

今回の経験は、私自身の仕事についても考えるきっかけになりました。

はんなりにも、いろいろなお客様が来られます。

明るい照明が苦手な方。

うつ伏せが不安な方。

身体のある場所を触られることに抵抗がある方。

着替えることそのものに負担を感じる方。

病気や治療について、話したい方もいれば、今日は話したくない方もいます。

そして、その感覚には必ずしも「誰にでもわかる理由」があるとは限りません。

でも、

本人が嫌だと感じていることは、その人にとっては本当に嫌なこと。

そこに「普通は大丈夫」「みんなやっています」を持ち込まないこと。

私はそれを大切にしたいと思っています。

はんなりでは、乳がん術後の方も、その日の体調や身体の状態を確認しながら施術内容を調整しています。
▶ はんなりでは、どんな時間を過ごすの?|初めての方へ

言葉にならない「苦手」にも気づけるように

お客様は、すべてを言葉にしてくださるわけではありません。

病気や治療について、毎回一から説明することそのものが負担になることもあります。
▶乳がんのことを、また一から説明するのがつらいとき

私自身がそうだったように、

「こんなこと言っても仕方ない」

「面倒な人だと思われたくない」

「自分だけかもしれないから恥ずかしい」

「これくらい我慢しよう」

と思っていることもあるかもしれません。

だからこそ、言葉だけではなく、

少し身体を動かしたこと。

表情が変わったこと。

いつもと違うこと。

そんな小さなサインにも気づける人でありたいと思います。

そして一度教えていただいたことは、次に来てくださったときにも大切にしたい。

半年後の私に、何も言わずタオルを添えてくれた歯科衛生士さんのように。

一人ひとりの感覚を大切にするやさしいケアのイメージ

心地よさは、人によって違うから

何を心地よいと感じるか。

何を不快と感じるか。

それは人によって違います。

触れ方についても、「こうすれば全員が心地よい」という一つの正解があるわけではありません。
▶ AI時代だからこそ、「触れること」を大切にしたい|乳がん術後の身体と向き合うために

そして、その感覚に「普通」も「おかしい」もないのだと思います。

施術する側の「これくらい大丈夫だろう」ではなく、

その方がどう感じているかを大切にする。

今回、私はお客さんの立場になって、それを改めて教えてもらいました。

「わかってもらえた」

「私の感覚を無視されなかった」

そして、

「こんなことを気にする自分でも大丈夫なんだ」

と思えたこと。

その安心感を、今度は私が、はんなりに来てくださる方へお返ししていきたいと思います。

はんなりでは、施術中の姿勢や触れ方、照明、着替えなど、「こんなことを言ってもいいのかな」と思うようなことでも、どうぞ遠慮なくお伝えください。

できること、難しいことを一緒に確認しながら、その日のあなたが安心して過ごせる方法を考えていきます。

あわせて読みたい

▶ 乳がんのことを、また一から説明するのがつらいとき

▶AI時代だからこそ、「触れること」を大切にしたい|乳がん術後の身体と向き合うために

▶「姿勢を矯正する」という言葉が、私はあまり好きではありません

小さなことでも、遠慮なくお伝えください

「こんなことを言ったら変かな」

「ほかの人は平気なのに」

そんなふうに思うことでも、ご本人が不快に感じることなら、はんなりでは大切な情報だと考えています。

施術中の姿勢、触れ方、照明、着替え、室温など、気になることがあれば遠慮なくお伝えください。

その日の体調やお気持ちも確認しながら、できること、難しいことを一緒に考えていきます。

▶ はんなりについて・初めての方へ

▶ ご予約はこちら

中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

よく読まれている記事

ご予約・お問い合わせ

お申し込みのほか、ご質問やご要望などありましたら、
お気軽にお問い合わせください。

お客様の使いやすい方法を
ご選択ください。

Web予約

からだのケア
24時間以内に返信いたします

Web予約

こころのケア
営業時間 10:00~18:00