球体模様
乳がんと心・生活

乳がんになっても「母親だから」「娘だから」と頑張ってしまうあなたへ

乳がんになっても「母親だから」「娘だから」と頑張ってしまうあなたへ

乳がんの治療をしているとき、

「子どもには心配をかけたくない」

「今まで通り、子どもに甘えてほしい」

「親には余計な心配をかけたくない」

そんな気持ちになったことはありませんか?

病気になると、私たちは「患者」という立場になります。

けれど、病気になったからといって、

母親であることも、
娘であることも、
なくなるわけではありません。

これまで大切にしてきた役割だからこそ、

「ちゃんとしなくては」

と頑張ってしまうことがあります。

「母親だから」が、治療を頑張る力になる

子どもと過ごす母親

子どもがいるから頑張れる。

「この子のためにも元気になりたい」

「できるだけ普段の生活を守りたい」

そんな思いが、つらい治療を乗り越える力になることがあります。

家族の存在が、自分を支えてくれる。

それは、とても大きな力です。

でも、その一方で、

「今日は体がつらくて、子どものことができない」

「家事まで手が回らない」

「今までのような母親でいられない」

そんな日が続くと、

「母親なのに、こんなこともできない」

「もっと頑張らなくてはいけないのに」

と、自分を責めてしまうことがあります。

「できない自分」を責めなくていい

自宅でゆっくり休む40代50代の女性

治療中は、体調が変わります。

手術のあとには、思うように体が動かないこともあります。

抗がん剤やホルモン療法、放射線治療などによって、疲れやだるさを感じることもあります。

今まで普通にできていたことが、できない。

そんなとき、

「母親なのに、こんなこともできない」

「家族に迷惑をかけてしまっている」

と、自分を責めてしまうことがあります。

でも、それはあなたが頑張っていないからではありません。

病気と治療によって、

今のあなたの身体には、これまでとは違う時間や休息が必要になっているだけです。

今日は家事ができなかった。

子どものことを十分にできなかった。

家族のために何もしてあげられなかった。

そんな日があっても大丈夫。

できることが少なくなる日があっても、あなたの大切さが小さくなるわけではありません。

「母親だから頑張る」だけではなく、

「今日は少し休もう」と自分に許してあげることも、

家族を大切にすることの一つなのかもしれません。

「心配をかけたくない」と、気持ちを隠してしまう

子どもに不安を感じさせたくない。

家族の前では、できるだけ明るくしていたい。

だから、

「大丈夫」

と言ってしまう。

本当は怖くても、
本当はつらくても、
涙が出そうでも、

家族の前では見せない。

それは、家族を守ろうとする気持ちからかもしれません。

けれど、自分の不安やつらさをずっと隠していると、

患者としての自分の気持ちを、一人で抱えてしまうことがあります。

家族を守るために頑張っているのに、

気がついたら、自分の気持ちを誰にも話せなくなっている。

そんなこともあります。

「娘だから、親には心配をかけたくない」

高齢の母親と話す40代50代の娘

そして、子どもだけではありません。

自分の親との関係でも、

「心配をかけたくない」

という気持ちを抱えることがあります。

特に親が高齢になっていると、

「親に病気のことを話したら、今度は親が心配してしまう」

「自分のことで親を悩ませたくない」

「これ以上、親に負担をかけたくない」

と考えてしまうことがあります。

本当は、娘として心配してもらってもいい。

話を聞いてもらってもいい。

けれど、

「親を安心させるために、自分がしっかりしなくては」

と思ってしまう。

そんなこともあるのです。

家族を思う気持ちは、とても大切

「母親だから頑張りたい」

「娘だから親を心配させたくない」

その気持ちは、決して悪いものではありません。

家族を大切に思っているからこそ、生まれる気持ちです。

だから、

「無理やり頑張っている自分はダメなのかな」

「もっと上手に家族に頼らなくてはいけないのかな」

と、さらに自分を責めなくても大丈夫です。

すぐに気持ちを切り替えなくてもいい。

家族に病気をどう伝えるかも、

どこまで話すかも、

その人、その家族によって違っていいのです。

ただ、ときどき思い出してほしいことがあります。

あなたも、家族の一員です。

家族を支える人であると同時に、

家族に心配してもらってもいい人です。

「今日はちょっとしんどい」と伝えてもいい。

「少し休ませて」と言ってもいい。

何も話したくない日があってもいい。

「母親」でも「娘」でもあるけれど、その前にあなた自身

病気になると、

「母親としてどうするか」

「娘としてどうするか」

を考えることが増えるかもしれません。

でも、その役割の前に、

あなた自身がいます。

疲れたら休んでいい。

不安になっていい。

できないことがあってもいい。

誰かに話を聞いてもらってもいい。

そして、

「今は自分のことを大切にしたい」

と思ってもいい。

家族を大切にすることと、

自分を大切にすることは、

どちらか一つを選ぶものではありません。

家族のために頑張るあなたへ

病気になったからといって、

母親であることも、
娘であることも、
やめなくていい。

でも、

「母親だから」

「娘だから」

という理由だけで、

自分を追い込まなくてもいいのです。

子どものために頑張りたい日があってもいい。

親を安心させたいと思ってもいい。

そして、

何もできないように感じる日があってもいい。

家族を思うあなたの気持ちも大切。

そして、

あなた自身の気持ちも大切です。

どちらかを選ばなくてもいい。

その間で揺れながらでも、

その時の自分にできることを、少しずつ。

はんなりは、病気だけを見るのではなく、

その人がこれまでどんな役割を担ってきたのか、

家族とどんな関係を築いてきたのか、

そして今、どんな気持ちで過ごしているのか。

そんなところにも目を向けられる場所でありたいと思っています。

治療を頑張っているあなたも、

家族を思って頑張っているあなたも、

ときには、自分のことを大切にしていいのです。

治療が終わったあとも、一人じゃない。

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中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

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