「治療中だから、少しでも体にいいものを取り入れたい」
乳がんの治療を受けている方から、そんなお話を聞くことがあります。
青汁、DHAやEPA、ビタミン、乳酸菌、酵素、ハーブなど。
健康のために、以前から続けているものもあるでしょう。
また、病院で
「グレープフルーツは避けてくださいね」
と言われたことがある方もいらっしゃいます。
「食べ物なのに、どうして薬に影響するの?」
と思いますよね。
実は、サプリメントや健康食品だけでなく、身近な食品でも、薬の働きに影響することがあります。
だからといって、
「サプリメントは全部ダメ」
ということではありません。
大切なのは、治療中に何を摂っているのかを、医療者に伝えておくことです。
健康食品やサプリメントは「食品だから安全」とは限りません
サプリメントや健康食品は、薬とは違って「食品」として扱われます。
そのため、
「薬ではないから大丈夫」
「天然のものだから安心」
と思ってしまうこともあります。
でも、天然の成分や食品由来の成分でも、薬の吸収や代謝に影響することがあります。
国立がん研究センターでは、健康食品やサプリメントについて、がんそのものへの効果が科学的に証明されていないものが多いこと、また、治療に影響する可能性があることを説明しています。
「体に良さそうだから」という理由だけで、治療中に新しく始めるのではなく、まず主治医や薬剤師に相談することが大切です。
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よく飲まれている「青汁」はどうでしょう?

サロンでお話を聞いていると、
「毎朝、青汁を飲んでいます」
という方も少なくありません。
青汁そのものを、乳がん治療中だから避けなければならないというわけではありません。
ただし、青汁は商品によって原材料や栄養成分が大きく異なります。
例えば、ビタミンKを多く含む製品では、血液を固まりにくくする薬であるワルファリンの作用に影響することがあります。
また、カリウムを多く含む製品では、腎臓の機能や服用している薬によっては注意が必要な場合があります。
国立がん研究センター東病院も、青汁などの健康食品に含まれるビタミンKとワルファリンとの相互作用について注意を呼びかけています。
ですから、
「青汁を飲んでいる=危険」ではありません。
飲んでいる場合は、
「この青汁を毎日飲んでいます」
と、商品名や成分表示を含めて医療者に伝えておくと安心です。
DHA・EPAのサプリメントは?
「血液をサラサラにしたいから、DHAを飲んでいます」
という方もいらっしゃいます。
DHAやEPAは魚に含まれるオメガ3脂肪酸です。
魚を食事として食べることと、DHA・EPAをサプリメントとして摂ることは同じではありません。
サプリメントでは、食品よりも成分を高濃度で摂取することがあります。
特に、抗凝固薬など血液を固まりにくくする薬を使用している場合には、オメガ3サプリメントについて医療者に相談することが勧められています。
乳がん治療中だからDHA・EPAを一律に禁止する、という話ではありません。
「何を、どのくらい摂っているのかを伝える」
ことが大切です。
病院で注意される「グレープフルーツ」

「グレープフルーツは食べないでください」
病院でそう言われた経験のある方もいるかもしれません。
これは、グレープフルーツに含まれる成分が、薬を分解する酵素や薬の吸収に関わる仕組みに影響することがあるためです。
その結果、薬が体内に入りすぎてしまったり、反対に吸収されにくくなったりする場合があります。
実際に、グレープフルーツは一部の抗がん薬を含む薬剤との相互作用が報告されています。
ただし、
「乳がんの薬を飲んでいる人は全員、グレープフルーツ禁止」
という意味ではありません。
薬の種類によって対応が違います。
ですから、
「この薬を飲んでいるけれど、グレープフルーツは食べていいですか?」
と、主治医や薬剤師に確認するのが一番確実です。
「大豆イソフラボン」も、食品とサプリメントは分けて考えましょう
乳がんと大豆について気になる方も多いと思います。
豆腐、納豆、味噌、豆乳など、大豆食品は日本の食卓になじみのある食品です。
国立がん研究センターの研究では、日本人を対象とした研究から、大豆食品の摂取と乳がんリスクとの関連が検討されています。
一方で、国立高度専門医療研究センター6機関の提言では、大豆製品を食事として摂ることと、大豆イソフラボンのサプリメントを摂ることは分けて考え、大豆イソフラボンのサプリメントには注意が必要とされています。
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「大豆は体にいいから、イソフラボンのサプリメントも多く摂ればいい」
とは限りません。
以前から食べている食品と、濃縮された成分をサプリメントとして摂ることは、同じように考えないことが大切です。
「免疫力を高める」という言葉にも注意して
健康食品を探していると、
「免疫力を高める」
「がんに負けない体をつくる」
「抗がん作用がある」
など、魅力的な言葉を目にすることがあります。
治療中なら、少しでも良いものを取り入れたいと思うのは当然です。
でも、「がんに効く」「治療を助ける」といった効果が、科学的に証明されているとは限りません。
国立がん研究センターも、健康食品やサプリメントについて、がんそのものへの効果が科学的に証明されていないものが多いとしています。
さらに、健康食品の成分が薬の働きに影響する可能性もあります。
「がんに良い」と書いてあるから安心、ではなく、
「今受けている治療と一緒に使って大丈夫かな?」
という視点を持ってみましょう。
サプリメントを飲んでいることを、隠さなくて大丈夫です

「こんなものを飲んでいるって言ったら、怒られるかな……」
そう思って、医師に伝えていない方もいるかもしれません。
でも、隠す必要はありません。
むしろ、
- 商品名
- 飲んでいる量
- 1日に何回飲んでいるか
- いつから飲んでいるか
を伝えておくことが、治療を安全に続けるために役立ちます。
サプリメントを飲んでいること自体が「悪い」のではありません。
治療に影響しないかを確認することが大切なのです。
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「何かを足す」だけが、体をいたわることではありません
治療中は、
「もっと栄養を摂らなくちゃ」
「免疫力を上げなくちゃ」
「何か体にいいものを取り入れなくちゃ」
と頑張りたくなることがあります。
でも、体をいたわる方法は、それだけではありません。
きちんと食べる。
眠れるときに眠る。
無理をしない。
少し体を動かす。
疲れたら休む。
そして、安心して治療を受ける。
そんなことも、体を支える大切な時間です。

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迷ったら「飲む前に相談」を
乳がん治療中にサプリメントや健康食品を取り入れたいと思ったら、
「これは飲んでも大丈夫ですか?」
と主治医や薬剤師に聞いてみてください。
特に、
- 新しいサプリメントを始めたい
- 複数のサプリメントを飲んでいる
- 抗がん薬やホルモン療法を受けている
- 血液を固まりにくくする薬など、ほかの薬も飲んでいる
- 手術を控えている
- 健康食品を「がんに効く」と勧められた
という場合は、一度確認しておくと安心です。
薬との相互作用は、成分だけでなく、薬の種類や量、治療内容によっても変わります。
インターネットで「このサプリは大丈夫」と書いてあっても、それが自分の治療に当てはまるとは限りません。
はんなりからお伝えしたいこと
治療中は、
「少しでも体にいいことをしたい」
と思いますよね。
その気持ちは、とても自然なことだと思います。
だからこそ、何かを始めるときには、
「体に良さそう」だけではなく、
「今の治療と一緒に使って大丈夫かな?」
と、一度立ち止まってみてください。
サプリメントを飲むことも、飲まないことも、どちらが正解というわけではありません。
大切なのは、自分の治療を知り、自分の体を守るために選ぶこと。
そして、分からないことは一人で判断せず、医療者に相談すること。
治療中の毎日は、それだけでも十分頑張っています。
何かを「足さなければ」と焦らなくても大丈夫。
今の自分に必要なものを、ひとつずつ。
そんなふうに、自分の体をいたわっていきましょう。
※この記事は、サプリメントや健康食品について一般的な情報をお伝えするものです。治療中の薬との飲み合わせや摂取の可否については、主治医・薬剤師にご確認ください。
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