球体模様
乳がん術後の身体

乳がん手術後の腕が上がりにくいときに。無理なくできる「タオル体操」

乳がん手術後の腕が上がりにくいときに。無理なくできる「タオル体操」

乳がんの手術後、

「腕が上がりにくい」
「肩が動かしにくい」
「脇がつっぱる」
「むくみが気になる」

そんな症状があると、

「早く元に戻したい」
「何とかして動かさなければ」

と、一生懸命エクササイズをする方がいらっしゃいます。

でも、頑張りすぎた運動が、かえって痛みやつっぱり感を強くしてしまうこともあります。

今回は、乳がん手術後の身体の状態を考えながら、無理なく取り組みやすい「タオル体操」をご紹介します。

※ここでご紹介する運動は一般的な方法です。手術の内容や治療経過によって適した運動は異なります。痛みが強い場合や、医療者から運動を制限されている場合は、主治医や理学療法士などの専門家にご相談ください。


乳がんの手術後は、傷の痛みや違和感、脇や胸まわりのつっぱり感などによって、腕や肩を動かしにくくなることがあります。

また、痛みを避けようとして無意識に身体をかばうことで、肩まわりの筋肉が緊張したり、身体の使い方に変化が生じたりすることもあります。

そのため、

「手術前と同じように動かそう」

と急に負荷の大きい運動をするよりも、まずは無理のない範囲で肩や腕を動かすことから始め、身体の状態に合わせて少しずつ活動量を増やしていくことが大切です。

特に、痛みがあるときは「痛いけれど頑張って伸ばす」のではなく、痛みを強くしない範囲で動かすことを意識しましょう。


乳がん術後におすすめしたい「タオル体操」

乳がん手術後の肩や腕の運動のひとつとして、タオルを使った運動があります。

タオル体操の良いところは、両腕を一緒に動かせること

手術した側の腕だけを頑張って動かすのではなく、反対側の腕の動きも利用できるため、動かし始めの時期にも取り組みやすい運動です。

これは「自動介助運動」と呼ばれる方法のひとつで、動かしやすい側の腕を使って、動かしにくい側の腕の動きをサポートします。

「手術した側の腕を一人で動かすのは少し怖い」

という方にも、比較的取り組みやすい方法です。


① 両手でタオルを持ち、頭の上へ

乳がん手術後の女性がタオルを使って腕を頭上に上げる運動

まず、タオルの両端を両手で持ちます。

胸の前でタオルを持ち、ゆっくりと腕を伸ばしながら、頭の上へ持ち上げていきます。

このとき、

腕が最後まで伸びきらなくても大丈夫です。

「ここまでなら痛くない」というところまで、ゆっくり動かしましょう。

そして、ゆっくり下ろします。

まずは、この「上げる・下ろす」動きを基本にしてみましょう。


② 頭の上まで上がるようになったら、身体を横に倒す

腕を頭の上まで無理なく上げられるようになったら、次の動きに進みます。

タオルを頭の上で持ったまま、身体をゆっくり左右に倒していきます。

右へ、左へ。

呼吸を止めず、ゆっくり行いましょう。

手術した側の脇や身体の側面に、つっぱる感じがすることがあります。

「伸ばしたほうが良い」と無理に伸ばす必要はありません。

つっぱり感や痛みが強くならない範囲で、少しずつ動かしていきましょう。

タオルを頭上に持って身体を左右に倒す乳がん術後の運動

③ 慣れてきたら、タオルを頭の後ろへ

さらに動かしやすくなってきたら、タオルを頭の上から背中のほうへゆっくり下ろしていきます。

肩だけではなく、肩甲骨も一緒に動かすことを意識してみましょう。

ただし、この動きも無理は禁物です。

「ここまでなら大丈夫」というところまでで十分です。

乳がん手術後のタオル体操で両腕を頭上に上げる方法

タオル体操は「左右一緒に動かす」ことがポイント

腕を片方ずつ動かすと、

「何とか上げよう」

と頑張るあまり、身体を傾けたり、肩をすくめたりすることがあります。

これは代償動作と呼ばれます。

代償動作とは、動かしにくい関節をかばうために、身体のほかの部分を使って動きを補うことです。

例えば、右肩が上がりにくいときに、身体を左側へ大きく傾けることで、右腕が上がったように見えることがあります。

一生懸命動かそうとしているときほど、こうした動きが出やすくなります。

代償動作が続くと、本来動かしたい肩の運動になりにくいだけでなく、首や背中、腰などに余計な負担がかかることもあります。

その点、タオルを両手で持って左右の腕を一緒に動かすと、身体全体で無理に補おうとする動きが出にくくなります。

片腕ずつ動かす場合には、鏡を見ながら行うと、身体を傾けたり肩をすくめたりしていないか確認しやすくなります。


「頑張る」よりも「気持ちよく動かす」

乳がん術後の運動は、必ずしも頑張って行う必要はありません。

特に手術後早期は、傷の痛みや違和感、疲れやすさなどが残っていることもあります。

「早く元に戻さなければ」

と焦って、痛みを我慢しながら運動する必要はありません。

痛みが強くなるようなストレッチや運動は避けましょう。

また、ダンベルなどを使った筋力トレーニングは、身体の回復状況に合わせて、少しずつ負荷を調整していくことが大切です。

まずは自分の身体の重さを利用した動きや、日常生活の中で無理なく身体を動かすことから始めてもよいでしょう。

タオルなら、特別な道具を用意する必要もありません。

テレビを見ながら、音楽を聴きながら。

「運動をしなければ」と構えすぎず、リラックスした気持ちで、できる範囲から始めてみてください。


日常生活の中で身体を動かすことも大切です

「エクササイズをしなければ、腕が動かなくなるのでは?」

と心配になる方もいらっしゃいます。

でも、日常生活の中でも腕や肩を使っています。

着替える、髪を整える、物を取る、洗濯をするなど、無理のない範囲で普段の動作を行うことも身体を動かす機会になります。

術後すぐの時期は、痛みや傷の状態をみながら、できることから少しずつ。

「今日はここまでできた」

というくらいで十分です。


一人で動かすのが不安なときは、無理をしないで

「動かして傷が開いたらどうしよう」

「痛くなったら怖い」

「どこまで動かしていいのかわからない」

そんな不安がある方もいらっしゃると思います。

また、日常生活にも支障があるほど肩や腕が動かしにくい場合や、運動すると痛みが強くなる場合は、無理に一人で頑張らないでください。

まずは主治医に相談し、必要に応じて乳腺外科や整形外科、リハビリテーション科などへの相談を検討することもあります。

身体の状態によっては、理学療法士などに動き方を確認してもらうことも役立ちます。


乳がん術後の身体は、「頑張って動かす」より「少しずつ慣らす」

乳がんの手術後は、

「早く元の身体に戻りたい」

という気持ちから、つい頑張りすぎてしまうことがあります。

でも、身体の回復には一人ひとり違いがあります。

痛みやつっぱり感があるときは、無理をせず、できる範囲から。

少し動かして、身体の反応をみる。
大丈夫なら、また少し動かしてみる。

そんなふうに、自分の身体と相談しながら進めていきましょう。

はんなりでは、乳がん手術後の肩や腕の動かしにくさ、身体の使い方についても、理学療法士としてお話を伺っています。

「これくらいの症状で相談していいのかな?」

と思うことでも大丈夫です。

一人で頑張りすぎず、気になることがあれば、いつでもご相談ください。

治療が終わったあとも、一人じゃない。

はんなりは、乳がん治療後の毎日に寄り添います。

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中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

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