球体模様
治療と暮らし

病気をしたことに、罪悪感を感じないでください

病気をしたことに、罪悪感を感じないでください

乳がんになって、家族に経済的な負担をかけてしまった。

思うように家事ができず、家族に迷惑をかけてしまった。

以前のように仕事ができず、同僚に負担をかけてしまった。

年老いた両親に、自分の病気のことで心配をかけてしまった。

そんなふうに、自分が病気になったことで周りの人に迷惑をかけてしまったと感じ、申し訳ない気持ちになる方がいます。

でも、どうか覚えておいてください。

病気になったことは、あなたのせいではありません。

病気になったことは、あなたのせいではありません

病気は、どれだけ気をつけていても、完全に避けられるものではありません。

今まで元気だった人も、年齢を重ねる中で、病気や身体の変化を経験することがあります。

だから、

「自分だけが家族に迷惑をかけている」

「もっとしっかりしなければ」

と、自分を責めなくてもいいのです。

あなたは、たまたま周りの人より少し早く、病気と向き合うことになっただけなのかもしれません。

今はあなたが支えてもらう番。

そう考えてもいいのではないでしょうか。

病気のときは、家族に頼っていい

家族と一緒に家事をする乳がん術後の女性

家族というのは、元気なときや楽しいときだけ一緒にいる存在ではありません。

つらいとき。

弱っているとき。

自分ではどうにもできないとき。

そんなときに支え合うことも、家族だからこそできることがあります。

「こんな姿を見せたくない」

「心配をかけたくない」

「これ以上、迷惑をかけたくない」

そう思って、頑張り続けてしまう方もいるかもしれません。

でも、病気になった今こそ、家族に頼っていいのです。

家事ができない日は、家事をお願いしてもいい。

仕事を休まなければならないときは、周りに助けてもらってもいい。

治療に必要なことを、経済的な理由だけで我慢しすぎなくてもいい。

あなたが家族のために無理を重ねてしまったら、家族もきっと心配します。

家族が大切にしているのは、「できるあなた」だけではありません

乳がん手術後の女性を励ます家族の手のイメージ

「元気だった頃の自分でいなければ」

そう思ってしまうこともあるでしょう。

家事ができるから。

仕事ができるから。

家族を支えられるから。

そんな「できる自分」でいなければ、家族にとって価値がないように感じてしまうこともあるかもしれません。

でも、本当にそうでしょうか。

あなたが家族にとって大切なのは、

元気だからでも、

家事をしてくれるからでも、

家族を支えてくれるからでもありません。

あなたという存在だから、大切なのです。

病気になったからといって、あなたの価値が変わるわけではありません。

役割を少しだけ降ろして|乳がん治療後こそ「自分のための時間」を

「何もできない自分」でも、家族と一緒にいていい

今は何もできない。

家族にしてもらうことばかり。

そんな自分を責めてしまうときは、

「今は何もできないけれど、あなたを大切に思っているよ」

そんな気持ちだけでも、十分なのではないでしょうか。

一緒にご飯を食べる。

同じテレビを見て笑う。

何気ない話をする。

ただそばにいる。

それだけでも、家族にとって大切な時間になることがあります。

病気になる前と同じようにできなくてもいい。

今の自分にできる形で、家族と一緒に過ごしていけばいいのです。

ご家族の方へ

そして、ご家族の方にも伝えたいことがあります。

がんは「家族の病」──支える人にもケアが必要です

大切な人が病気になると、

「何をしてあげたらいいのかわからない」

「どんな言葉をかければいいのかわからない」

と戸惑うこともあると思います。

心配だからこそ、どう接していいかわからず、少し距離を置いてしまうこともあるかもしれません。

そんなときは、特別なことをしなくても大丈夫です。

「何かできることがあったら言ってね」

「無理しなくていいよ」

「いてくれるだけでいいよ」

そんな言葉や態度で伝えてあげてください。

病気になった本人は、

「迷惑をかけている」

「心配をかけて申し訳ない」

と、自分を責めていることがあります。

だからこそ、

「あなたがいてくれることが大切」

という気持ちが伝わるだけでも、心の負担が少し軽くなることがあります。

支えてもらうことも、家族のためになる

病気になったとき、

「家族に迷惑をかけたくない」

と思うのは、家族を大切に思っているからこそです。

でも、支えることだけが家族ではありません。

支えてもらうことも、家族の役割のひとつです。

いつか立場が変わることもあるでしょう。

今まであなたが誰かを支えてきたように、今度はあなたが支えてもらう。

そして、また元気になったときに、できることを少しずつ返していけばいいのです。

すぐに「元の自分」に戻らなくても大丈夫。

病気を経験した今のあなたも、あなたです。

病気になった自分を、責めないでください

病気になったこと。

治療を受けること。

以前のように動けないこと。

誰かに助けてもらうこと。

それは、あなたが悪いから起きていることではありません。

今は、周りの人に頼っていい。

弱いところを見せてもいい。

できないことがあってもいい。

そして何より、

病気になったからといって、あなたの大切さが変わることはありません。

「迷惑をかけてごめんね」ではなく、

「そばにいてくれてありがとう」

「支えてくれてありがとう」

そんな言葉に、少しずつ変えていけたらいいですね。

家族も、あなたも、

完璧でなくていい。

支えたり、支えられたりしながら、一緒に過ごしていけばいいのだと思います。

はんなりから

柔らかな光の中で、一人の女性が穏やかに過ごしている写真

乳がんの治療中や治療後は、身体の変化だけでなく、仕事や家事、家族との関係など、これまで当たり前だった暮らしにも変化が起こることがあります。

身体の変化についてはこちら

乳がん手術後、自分の身体を見られない。触れられない。

復職についてはこちら

乳がん術後の復職前に知っておきたい身体の準備

「こんなことを相談していいのかな」

「家族に迷惑をかけている気がする」

そんな気持ちも、一人で抱え込まなくて大丈夫です。

はんなりでは、治療だけを見るのではなく、その先にある毎日の暮らしや、その人らしい時間にも寄り添っていきたいと思っています。

治療が終わったあとも、一人じゃない。

そんなふうに感じてもらえる場所でありたいと思っています。

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中野 郁子

この記事を書いた人中野 郁子(なかの いくこ)

乳がん女性の駆け込み寺 はんなりを運営しています。
母をがんで亡くした後、がん患者さんとその家族を支える仕事がしたいと転職。
久留米市の病院に勤務後、2016年に開業しました。
理学療法士、アロマセラピスト、ピンクリボンアドバイザー、乳がん啓発運動指導士の資格があります。

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