今は、スマートフォンがあれば、どこにいても誰かとつながることができます。
乳がんについても、オンラインコミュニティやSNSで、同じ経験をした人の言葉を読むことができます。
「自分だけじゃないんだ」
そう思えることもあるでしょう。
オンラインでつながることには、大きな意味があります。
それでも私は、リアルな場所で人と会うことも大切にしたいと思っています。
私たちは、身体を持っているから
病気になると、どうしても「病気の情報」を集めることに意識が向きます。
治療法は?
副作用は?
再発率は?
この症状は大丈夫?
もちろん、正しい情報を知ることは大切です。
でも、病気を経験しているのは「身体を持った私」です。
不安になると、胸がぎゅっと苦しくなる。
緊張すると、肩に力が入る。
話しているうちに涙が出てくる。
元気そうに見えても、身体の中では疲れ切っている。
病気は、情報だけでは語りきれないものだと思うのです。
コロナ禍に、改めて感じたこと

コロナ禍で、人と会うことが難しくなった時期がありました。
オンラインで顔を見ながら話すことはできても、
「同じ場所にいる」
ということが、こんなにも大切だったのだと、その時に強く感じました。
同じ空間にいる。
同じ空気を感じる。
誰かの声を直接聞く。
笑い声が聞こえる。
ふとした瞬間に目が合う。
言葉を交わさなくても、隣に誰かがいる。
そんな何気ないことが、実は私たちの心を支えていたのかもしれません。
だから私は、リアルに人が集まる場所を大切にしたいと思っています。
五感を使って、あなたを理解したい
リアルな場では、言葉だけではないものが伝わってきます。
言葉に詰まる。
少し言い淀む。
話しているうちに、だんだん気持ちが熱くなる。
誰かが静かにうなずく。
声が少しかすれる。
緊張して、いつもより小さな声になる。
そして、ふっと笑顔になる。
画面越しでは見えにくい、そんな小さな変化があります。
私は、それを感じたいと思っています。
「何を言ったか」だけではなく、
どんな表情で話していたのか。
どんな声だったのか。
その場で身体がどう反応していたのか。
五感を使って、その人を理解したい。
それは、身体に向き合ってきた理学療法士として、私が大切にしたいことでもあります。
ただ「いる」ことにも意味がある

患者会では、何かを話さなければいけないと思うかもしれません。
でも、そんなことはありません。
今日は聞いているだけ。
誰かの話を聞いて、うなずくだけ。
少し離れたところで、静かに過ごすだけ。
それでもいいのです。
もしかしたら、
あなたがそこに「いる」だけで、誰かを癒しているかもしれません。
あなたが話した一言に、誰かが救われるかもしれない。
あなたのうなずきに、
「この気持ち、私だけじゃなかったんだ」
と安心する人がいるかもしれない。
そして、あなた自身も、
誰かの何気ない言葉や表情に、励まされるかもしれません。
人と人との間には、言葉だけではない何かがある。
私は、そんなつながりを大切にしたいと思っています。
「エールの会」を開きます
はんなりでは、乳がんを経験した方が集まる「エールの会」を開催しています。
ここは、何かを頑張るための場所ではありません。
誰かに正解を教えてもらう場所でもありません。
安心して話せること。
話さなくてもいられること。
誰かの言葉にうなずけること。
「自分だけじゃなかった」と思えること。
そして、ただそこにいること。
そんな時間を、一緒に過ごすための場所です。
オンラインでつながることが当たり前になった今だからこそ、
同じ場所に集まり、
同じ空気の中で、
同じ時間を過ごす。
その大切さを、私はこれからも忘れたくありません。
あなたの声を聞きたい。
あなたの表情を見たい。
あなたの言葉にならないものも、できるだけ受け取りたい。
そして、
あなたがそこに「いる」ことそのものが、誰かのエールになる。
そんな時間を、一緒につくれたらと思っています。
乳がんを経験した方へ。
ひとりで抱えなくて大丈夫です。
よかったら、エールの会でお会いしましょう。
合わせて読みたい
- 乳がんを経験した方へ「エールの会」を開催します
乳がんを経験した方が、安心して話したり、誰かの話に耳を傾けたりできる場所です。 - 治療が終わっても、不安は終わらない
治療が終わったあとに感じる不安や揺れる気持ちについて綴っています。 - 眠れない夜を、一人で抱え込まないで
眠れない、不安が続く……そんなときに、一人で抱え込まなくてもいいというお話です。

前の記事

